icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸4巻12号

1969年12月発行

今月の主題 潰瘍性大腸炎

綜説

潰瘍性大腸炎の病理―生検診断を含めて

著者: 若狭治毅1 佐藤栄一1 塚本長2

所属機関: 1東北大学医学部病理学教室 2東北大学医学部槇外科教室

ページ範囲:P.1519 - P.1527

文献概要

はじめに

 潰瘍性大腸炎(idiopathic ulcerative colitis)は臨床的に症状の軽快と再発とをくり返す慢性の炎症性疾患であるが,その原因ならびに発生機序については,今日なお不明の点が多い.さらに,本症の示す多様な病像から,これを独立疾患とみなさず,むしろ症候群と考える人も多くなってきた.本症は欧米にくらべ日本では極めて稀な疾患とされていたが,松永1)の発表を契機として注目されるようになり,診断技術の進歩と相まって今日ではそれほど稀なものとはいえなくなった.この理由として,もちろん診断と治療の進歩を第一にあげなければならぬが,本症の概念そのものの変遷もみのがすことのできない事柄であろう.すなわち,Truelove2),Bochus3),渡辺4)によると,大腸の炎症性疾患で病因の確かめられるものをすべて除外し,その後に残ってきたものを包括するというふうにかなり幅広い見方をとっている.このことは,近年急速に進歩した生検材料の診断規準とも関連を有してくる.

 筆者らは手術例による病理形態発生を検討し,また同一症例の生検と手術所見とを対比しながら潰瘍性大腸炎の特徴を明らかにしようと試みた.さらに,剖検例における本症の頻度を剖検輯報から調査し,2,3の問題点を見出したので,これらについて報告したい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら