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今月の主題 上部消化管の出血 綜説
外科からみた上部消化管の出血
著者: 長尾房大1 池内準次1 成川恆夫1 貴島政邑1 亀田慶三1 曽爾一顕1 富田次夫1 榎本玄治1 木村宜夫1 会沢寛美1
所属機関: 1東京慈恵会医科大学大井外科教室
ページ範囲:P.145 - P.151
文献購入ページに移動上部消化管からの出血対策といっても,その出血程度はさまざまであり,内科の立場からみる出血患者の病態と,外科の立場からみる出血患者の病態とでは,そのあつかう患者の程度に多少差異が認められ,ここらが,出血対策に,内科側と外科側との異論が生じうる因子が残されている.しかし,上部消化管出血は,昔からいわれてきた通り,境界疾患の本来の立場において,内科・外科一体となって対策を講ずるのがもっとも妥当な治療方針であり,その病態に決して差異があるわけではない.一つの病態のふるい分けの過程として,内科的,保存的治療が適切な段階と,外科的,手術的治療が考慮されなければならない段階とがあるわけで,内科・外科いずれの側に偏した目でみても誤りをおかしやすいものといわなければならない.つまり,内科医は外科医の目を,外科医は内科医の目をもって治療方針をたてるのが原則である.本題の「外科からみた上部消化管出血」もその意味では,あまり適切な表現の題ではないと思うが,私どもの外科医の立場として,手術の必要な程度と,その理由というものをみつめながら,内科的治療対策の範囲のものと,外科的治療対策の範囲のものとを分析してみたわけである.結論から先にいえば,決して手術第一主義をとっているわけではない.ただ,多くの上部消化管出血患者の中には,病態上,当然,手術を考慮しなければならないものが,一定度含まれているものであり,そのふるい分けや,治療対策はどうするかということを中心に述べるつもりである.この立場は,決して「外科からみた」というものでなく,上部消化管出血をとりあつかう,内科,外科共通の立場からみつめたつもりである.上部消化管出血という全般的な立場から,実地上のポイントとなるのは,まず,「出血程度の判定」,「救急処置」および「手術適応,手術時期の判定」の三者に要約されるものと考えるので,この点を中心としてのべる.
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