文献詳細
今月の主題 上部消化管の出血
綜説
文献概要
Ⅰ.上部消化管大量出血の原因としての門脈圧充進症
上部消化管出血における食道静脈瘤出血の頻度は必ずしも高くなく,諸家の報告1)19)23)25)26)40)によれば数~10数%にとどまっている(Tab. 1).それにもかかわらず食道静脈瘤出血が臨床家の強い関心をよぶのは,消化管大量出血の1/4を占め23),出血に際して肝障害にともなう止血の困難性とその高い致命率のためである.食道静脈瘤をきたす門脈圧充進症の大部分を占めるものは肝硬変であり,本邦での死亡順位48)は全死亡数中の12位であるが,30~50歳代の死因としては6~8位であり,その主要死因である消化管出血のしめる位置は大きい.
上部消化管出血における食道静脈瘤出血の頻度は必ずしも高くなく,諸家の報告1)19)23)25)26)40)によれば数~10数%にとどまっている(Tab. 1).それにもかかわらず食道静脈瘤出血が臨床家の強い関心をよぶのは,消化管大量出血の1/4を占め23),出血に際して肝障害にともなう止血の困難性とその高い致命率のためである.食道静脈瘤をきたす門脈圧充進症の大部分を占めるものは肝硬変であり,本邦での死亡順位48)は全死亡数中の12位であるが,30~50歳代の死因としては6~8位であり,その主要死因である消化管出血のしめる位置は大きい.
掲載誌情報