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今月の主題 上部消化管の出血 綜説
胃炎出血
著者: 浜口栄祐1 大島昌1 渡辺正道1 仙石耕一1 青柳和彦1 熱田二士行1 川村展弘1 小川伸一郎1 飯塚益生1 中島俊彦1
所属機関: 1東京医科歯科大学第二外科
ページ範囲:P.183 - P.192
文献購入ページに移動上部消化管から大出血を起す疾患のうち,胃十二指腸潰瘍,胃癌,食道静脈瘤については,古くから出血源および出血機序が知られており,個々の病態に応じた診療が行なわれている.この他まれな疾患として食道裂孔ヘルニヤ,食道憩室,その他の食道疾患,Mallory-Weiss症候群,胃ポリープ,胃血管腫,十二指腸憩室,肝・胆道・膵疾患などが挙げられるが,これら疾患の発見されない症例も多数報告されており,Gastrostaxisないし特発性実質性胃出血と呼ばれていた1)~3).このなかには,胃粘膜びらんからの出血像を確認できたものもあるが,びらんを認め得なかったとする報告も少なくない4)~10).
筆者らは1949年以来臨床外科医の立場にたって胃炎出血ないし慢性胃炎の問題を研究し,胃炎出血の頻度はまれでなく,再出血の危険も大きいことを発表してきた11)~20).しかし大出血時の胃炎出血の診断や治療方針の決定については種々議論のあるところであり,さらに胃炎出血の成因に関しては不明の点が多く,今後の研究に待たねばならないと考える.今回は教室開設以来13年間に経験した胃炎出血の症例について検討し,若干の考察を加えた.
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