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文献詳細

雑誌文献

胃と腸4巻2号

1969年02月発行

文献概要

今月の主題 上部消化管の出血 研究

十二指腸の腫瘍―1.悪性腫瘍 胃癌との重複

著者: 中村卓次1 飯塚啓1 岡田了三1 嶋田裕之1 鈴木雄次郎1

所属機関: 1東京都養育院付属病院

ページ範囲:P.223 - P.229

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Ⅰ.はじめに

 原発性十二指腸癌は比較的稀な疾患とされている.Mateer20)によると,176,000体の剖検で全部の癌の0.25%,腸癌の3%を占めており,Hoffmann13)によると,350,286体の剖検で0.033%に発見されたと報告されている.またNothnagel28)によると,41,438体の剖検で443例の腸癌が発見され,そのうち十二指腸癌は7例(腸癌の0.63%)を占めており,Oberndorfer28)によると5,768体の剖検で十二指腸癌は13例(0.22%)と報告されている.

 本邦の全剖検例における十二指腸癌の頻度は石橋:0.098%,長与:0.2%,鈴木:0.071%などである109)

 欧米では,Hamburger(1746)がはじめて原発性十二指腸癌を報告して以来Resnik(1958)が集計するまでに580例,それ以後現在にいたるまで69例1)~34)総計649例報告されており,本邦では近藤が集計するまでに187例,それ以後著者の調査した51例計238例35)~152)が報告されている.現在でもなお続々症例報告がなされており,原発性十二指腸癌およびその手術成功例の報告は近時急速に増加している.

 しかし原発性十二指腸癌と他癌との重複癌はきわめて稀であり,とくに胃癌と十二指腸癌の重複癌は欧米,本邦それぞれ1例計2例が報告されているにすぎない.

 著者は最近,胃癌で胃切除を施行してから約3年6カ月後に肺炎で死亡した患者の剖検において十二指腸癌を発見し,両者が独立した原発性の重複癌と考えられたので報告する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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