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文献詳細

雑誌文献

胃と腸4巻3号

1969年03月発行

今月の主題 胃癌深達度の診断と経過観察

綜説

陥凹性早期胃癌のIndex法による内視鏡診断;RC法

著者: 三輪剛1 熊谷博彰1 吉森正喜1

所属機関: 1国立がんセンター内科

ページ範囲:P.289 - P.296

文献概要

Ⅰ.はじめに

 早期胃癌の大部分は胃内視鏡で診断がつくようになった.しかし,一部は胃生検なしには確診困難である.確診困難なとき数週間の経過観察で癌としての特徴が出現するのを待つ方法もある1).経過観察は潰瘍合併のものにとくに有効である.

 陥凹性早期胃癌の短期経過追求の結果,早期胃癌内潰瘍の多くが抗潰瘍治療で治癒傾向を示すことが明らかとなった2).多数例の経過追求は,診断がついてから手術までの間,われわれの病院の機構上やむなく何週間かを要するので,その間を利用して詳細な追求をしていくという方法によって行なわれる.また疑診から確診までの間追求する.胃生検が極めて容易に行なわれる現今では,むしろ確診から手術までの間を利用して追求していく.

 このように追求しているとき,非常にしばしば出現してくる所見として,うすい白苔にかこまれた粘膜の島がある.この島は赤斑としてみえることがある.うすい白苔は撮影条件が悪いとよくみえない.このような所見は悪性潰瘍で極めて頻繁にみられるが,良性潰瘍ではまれにしかみられない.早期胃癌内潰瘍は治癒する傾向があるといってはみても,所詮その再生粘膜はその再生のうしろ側からくずれてきて白苔をかぶったⅡcができてくると老えられるのである.どうやらこういう現象が段々と上記の白苔にかこまれた粘膜の島へと発展していくものの1つではないかと思われる.そこで粘膜の島Redpatchとそれを取りかこむ白苔white CoatingのRとCをとってこの現象をRCと呼ぶことにする.このRCは潰瘍性病変の良悪性鑑別の手がかりになりそうである.

 さらにこれらの島が高まっている場合がある.これをWallと呼ぶ.出血Bleedingおよび周辺粘膜の襞Foldの状態も参考にして,陥凹性早期胃癌の内視鏡診断について述べることにする.

 以上に挙げた各要素をそれぞれの程度別にIndexにして表現し,このIndexによる表現法をRC法と呼ぶことにする.

 なお,各要素以外に実際にはもっと多くのみるべき要素があるが,今回はIndexに表現しやすいものだけについてとりあえず考慮してみたものである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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