文献詳細
今月の主題 胃癌深達度の診断と経過観察
綜説
文献概要
Ⅰ.はじめに
早期胃癌に関する研究は,わが国において,もっとも進んだものであって,1966年の国際内視鏡学会や,消化器病学会でも,欧米に比してすぐれていることが認められた.このすぐれた研究は,わが国の癌死亡の中でしめる胃癌の割合がきわめて高いことにもとつくと共に,X線及び内視鏡検査の進歩が大きく貢献している.早期胃癌の診断,治療に数多くのすぐれた研究がなされており,1968年には,前癌病変としての胃潰瘍と胃ポリープの意義が検討されている.
臨床面では,早期胃癌の中には,長期間にわたり癌が早期の状態であることが1963年に検討されて以来,最近では,数年にわたり,早期癌の状態である症例がまれでなくなっている.胃疾患の検査法の進歩は,漸次小さい早期癌の診断に向けられると共に,癌の胃壁深達度をX線,内視鏡検査でどの程度まで診断しうるかが検討されている.X線または内視鏡検査で進行癌と診断した症例が組織検査では,癌が粘膜下層に止まる早期癌であったり,また逆に,早期癌と診断した症例が切除胃の組織検査で深部浸潤を示した進行癌と判明する症例も少なからず認められている.早期胃癌の問題点は数多くあるが,今回は,1965年1月より,1968年6月までの過去3年半に経験した早期胃癌184例および進行癌571例について,早期胃癌を中心に,経過と深達度を2,3の点について検討を加えてみたい.
早期胃癌に関する研究は,わが国において,もっとも進んだものであって,1966年の国際内視鏡学会や,消化器病学会でも,欧米に比してすぐれていることが認められた.このすぐれた研究は,わが国の癌死亡の中でしめる胃癌の割合がきわめて高いことにもとつくと共に,X線及び内視鏡検査の進歩が大きく貢献している.早期胃癌の診断,治療に数多くのすぐれた研究がなされており,1968年には,前癌病変としての胃潰瘍と胃ポリープの意義が検討されている.
臨床面では,早期胃癌の中には,長期間にわたり癌が早期の状態であることが1963年に検討されて以来,最近では,数年にわたり,早期癌の状態である症例がまれでなくなっている.胃疾患の検査法の進歩は,漸次小さい早期癌の診断に向けられると共に,癌の胃壁深達度をX線,内視鏡検査でどの程度まで診断しうるかが検討されている.X線または内視鏡検査で進行癌と診断した症例が組織検査では,癌が粘膜下層に止まる早期癌であったり,また逆に,早期癌と診断した症例が切除胃の組織検査で深部浸潤を示した進行癌と判明する症例も少なからず認められている.早期胃癌の問題点は数多くあるが,今回は,1965年1月より,1968年6月までの過去3年半に経験した早期胃癌184例および進行癌571例について,早期胃癌を中心に,経過と深達度を2,3の点について検討を加えてみたい.
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