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今月の主題 胃癌深達度の診断と経過観察 綜説
早期胃癌の内視鏡診断に際しての癌深達度の推定と胃癌の進展経過に関する内視鏡的考察
著者: 奥田茂1 三枝達明1 児島淳之介1 森井健1 佐野元哉1 竹尾信男1 平井彩衣1 加藤晃1 竜田正晴1 岸田剛一1 大谷透1 湯川研一1 岩永剛1 谷口春生1
所属機関: 1大阪府立成入病センター
ページ範囲:P.313 - P.326
文献購入ページに移動内視鏡で早期胃癌と診断するためには癌か否かの鑑別と同時に癌の深達度を推定しなければならない.このことは癌細胞の深部浸潤の深さという顕微鏡レベルでの尺度を,内視鏡という肉眼レベルでの粘膜表面の形態的な変化所見から推定しようとするのであるから,もとより難しい問題である.しかし,これが不可能であるならば,癌深達度で規定された1)早期胃癌を内視鏡的に診断することも不可能であるといわねばならない.
従来,早期胃癌の診断学に関する研究は癌か否かの問題がもっぱら議論され癌深達度の推定を系統的に検討した報告は見られず,これを困難とする研究者も少なくないが,本年度福岡での学会以来にわかに活発な議論を呼ぶようになってきた.
著者らは数年来内視鏡学会分類2)3)に亜型分類4)を加えこの問題を検討してきたが4)5)6)7),その後の症例を加えて早期胃癌と誤診しやすい進行癌はどれくらいあるか,それらはどの病型で多いか,両者を鑑別するに役立つ所見としてどういうものがあるか,また内視鏡で”早期”という診断はどの程度可能であるかなどについて検討したので,その成績を以下に述べる.
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