文献詳細
今月の主題 胃癌深達度の診断と経過観察
症例
顆粒細胞性筋芽腫と胃神経鞘腫との重複の1例
著者: 戸村隆訓1 高橋淳司1 早川隆1 林裕人1 藤原義剛1 藤村一夫1 田中秀俊2 桜井勇3 有馬久男3 丸川万吉郎3
所属機関: 1日本大学医学部萩原内科 2東京逓信病院消化器科 3日本大学医学部第2病理
ページ範囲:P.363 - P.367
文献概要
顆粒細胞性筋芽腫(Granular cell myoblastoma)は1926年Abrikossoff1)がはじめて特有な顆粒を細胞質内に有する筋原性の良性腫瘍として記載した.本腫瘍は,主として皮膚および舌に発見される.欧米では多くの研究があり,また発生起原も種々探究されているが,本邦での報告例は極めて少ない.また胃神経鞘腫(Neurinoma)は1910年Verocay2)らがその本態を究明したが,本邦でも少なからず報告されている.本腫瘍は粘膜下または漿膜下に生ずる神経原性の良性腫瘍で,必ずしもまれではない,われわれは最近術後の組織学的検索で,胃粘膜下に顆粒細胞性筋芽腫が存在し,さらに漿膜下に神経鞘腫が重複していた1例を経験した.このような重複良性腫瘍は珍らしいので,文献学的考察を加えて報告する.
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