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文献詳細

雑誌文献

胃と腸4巻6号

1969年06月発行

文献概要

今月の主題 胃の変位と変形(1) 綜説

胃憩室

著者: 秋山吉照1 白枝親司1

所属機関: 1姫路聖マリア病院放射線科

ページ範囲:P.711 - P.720

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Ⅰ.はじめに

 胃憩室は胃壁の一部が限局性に胃外に向って嚢状に膨隆したものをいい,消化管憩室の中では最も少なく,食道や十二指腸憩室に比べればかなりまれにしか遭遇しない.

 1611年Moebiusにより初めて記載され,1916年Brownがレ線検査で初めて発見している.外国では,Palmer4)(1951)が412例,Sommer7)(1953)は449例を集計しており,Scott and White Clinicでは胃の検査例83,768名中21例の胃憩室を発見している.

 本邦では山形18)(1962)が本邦集計100例と発表しているが,最近,勝原13)(1968)は山形の文献以後のもの142例を集計して,現在までの本邦胃憩室報告集計は242例と報告しているから,最近5~6年間で飛躍的に発見数が増加していることになり,レ線検査の進歩と普及を裏書きしている.

 筆者も1960年までに5例,1963年までに23例を経験し,全例のレ線像を掲載し報告8)9)したが,現在(1968年12月)までに68例(69個)の胃憩室を当病院で発見したので,文献を参照しつつ,胃憩室についてまとめてみたいと思う.本症のほとんどが噴門穹窿部に発生するため見逃される可能性が多い点,胃潰瘍などが胃憩室に酷似するレ線像を示すことがある点,さらに病状の主因は胃憩室に合併する諸疾患によることが多いから合併症の有無に注意する必要がある点などは特に強調したい事柄である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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