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文献詳細

雑誌文献

胃と腸4巻6号

1969年06月発行

文献概要

今月の主題 胃の変位と変形(1) 研究

内視鏡学的にみた胃角部および胃底腺幽門腺粘膜境界部の検索

著者: 鈴木博昭1 草刈幸次1 小池尚義1 城昌輔1 倉橋秀郎1 渡辺豊1

所属機関: 1東京慈恵会医科大学第2外科教室

ページ範囲:P.799 - P.804

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Ⅰ.はじめに

 最近,胃内視鏡の発達はめざましく,とくに,胃疾患の内視鏡診断に関しては多方面から活発に研究されている.しかし,胃の病態生理に関する内視鏡的研究は不十分で,その報告も少ない.その原因のひとつとして,生きたままの胃内を観察する場合に部位的めやすがつき難いことが挙げられる.臨床上,古くから用いられている胃の各部の名称17)には,噴門,穹窿部,胃体部,胃角部,幽門部,幽門などがあるが,このうち,噴門と幽門は,胃と食道および胃と十二指腸の境い目であり,それぞれ,括約筋様の筋層構造1)17)により位置づけられている.また,内視鏡的にも狭窄部として明らかに観察できる.胃の形の上から小彎の屈曲部を胃角部と呼び,それを境いに胃体部と幽門部に区別されている.胃角部については,内視鏡的に主要な部位的めやすとして広く用いられているが,解剖組織上の裏付けはなく,体位の変換や胃運動によって可動性のものか否か,また,症例によって同一のものであるか否かを明らかにした報告は文献上みあたらない.そこで,内視鏡上の胃角部が胃筋層上のどこに位置するかについて検討した.

 もうひとつ胃の組織学的な部位を表わす名称として,胃底腺幽門腺粘膜境界部8)があるが,この粘膜境界部は普通の内視鏡検査では観察し難いもので,教室の成績によれば,その存在部位は個人差が大きい.Congo-red液を用いて粘膜境界部を観察しようとする動物実験7)および臨床的研究4)6)は,かなり多く報告されてきたが,Congo-red法の評価についてはまちまちである.Congo-red液の変色の境い目の観察は,手術時に胃切開6)または漿膜面からの透見4)7)を行なう方法が多く用いられ,内視鏡的に検討した報告は少ない15).そこで,著者らは臨床例について,手術時全身麻酔下でCongo-red法を行ない,内視鏡によるCongo-red法の評価について検討した.すなわち,胃粘膜面に現われたCongo-red液の変色の境い目とその切除胃の胃底腺幽門腺粘膜境界部の位置的関係について検討した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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