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今月の主題 胃の変位と変形(2) 綜説
瀑状胃の内視鏡検査
著者: 神津忠彦1 平島勇1 小坂知一郎1 横堀正孝1 原征洋1 長廻紘1 野本高志1 秋田善昭1 横山泉1 鈴木茂1 鈴木博孝1 遠藤光夫1 羽生富士夫1 竹本忠良1
所属機関: 1東京女子医科大学消化器病センター
ページ範囲:P.853 - P.859
文献購入ページに移動胃疾患の診断,治療,研究の分野において内視鏡はすでに不可欠のものとしてその実績をあげつつある.X線検査法との組合わせによる相乗的な効果は多くの人々の認めるところであろう.
ところで,胃内視鏡検査において噴門,宥薩部,体上部後壁などの部位は,その観察に多少の技術的な問題があり,更に胃内視鏡の構造上の制約があったり,病変の出現頻度が幽門部や胃角部などに比して少ないということもあって,しばしば十分な観察をすることなく終るという恐れがないとはいえない.X線検査においてもこの部位は診断学的に容易とは言いにくいこともまた事実であろう.しかし,ここまで進歩した胃疾患の診断学において,多少観察しにくくても,また病変発現頻度が比較的低くても,それを理由にこの部位がとりのこされることはもはや許されない.胃内視鏡検査は「すべての部位を十分に」(Complete and thorough)把握するものでなければならない.
反転法やすでに開発されている新型Vb型胃カメラなどは,強い変形を伴わない胃におけるこの種の問題をかなりな程度まで解決していると思われ,先の第11回日本内視鏡学会総会におけるシンポジウムの中で遠藤,斉藤らがなした総括は記憶に新らしい.
そこでここには変形胃のうちで最もしばしば遭遇する瀑状胃の内視鏡検査について2,3述べてみたい.
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