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文献詳細

雑誌文献

胃と腸4巻8号

1969年08月発行

文献概要

今月の主題 X線・内視鏡で良性様所見を呈した生検陽性例 綜説

内視鏡で良性様所見を呈した生検陽性例の検討

著者: 奥田茂1 三枝達明1 児島淳之介1 森井健1 佐野元哉1 大谷透1 竹尾信男1 平井彩衣1 加藤晃1 竜田正晴1 岸田剛一1 湯川研一1 岩永剛2 谷口春生3

所属機関: 1大阪府立成人病センター内科 2大阪府立成人病センター外科 3大阪府立成人病センター病理

ページ範囲:P.961 - P.970

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Ⅰ.はじめに

 癌を疑いさえすれば今日ファイバースコープによる直視下生検あるいは直視下細胞診によってその確定診断を得ることはそれ程困難ではない1).しかし内視鏡的に癌を疑わなかった病変に癌がひそんでいることは,早期胃癌で少数ながら認められる内視鏡偽陰性例の経験や2)胃癌のretrospective studyの成績3)から想像することができる.そこで内視鏡で良性様にみえるものにどの程度癌がひそんでいるかということが問題となる.このことは誤診を防ぐために,また胃癌をより早期に発見するために是非解決しなければならない問題である.

 胃癌の早期診断の具体的な手順として著者らはレ線癌疑いや,内視鏡で少しでも悪性を疑わしめる所見のある場合に,従来は一般洗滌細胞診,2~3年来は直視下洗滌細胞診を原則として行ない,これらが陰性でなおかつ癌が疑わしい場合直視下生検を行なう方式をとってきた.ところが昨年11月著者らの開発による生検用ファイバースコープのカラーテレビが実用化し(第1図,第2図),生検手技の確実化と生検能率が大幅に向上したため最近は癌・非癌の鑑別診断だけでなく癌化の問題の研究資料となることを期待して明らかに良性と思われる限局性良性疾患にも積極的に直視下生検を行なっている,この様にして行なった生検症例を検討し,どの様な病型では胃癌を見落しやすいか,それらはどれ位あるか,誤診を除ぐためにはどうすればよいか,また従来良性として生検,細胞診を行なわなかった病変にどの程度癌がひそんでいるかなどについて,著者らが得た成績を報告する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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