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今月の主題 難治性潰瘍性大腸炎―診断と治療の新知見 ノート
潰瘍性大腸炎難治化の予測における拡大内視鏡の有用性
著者: 斉藤裕輔1 藤谷幹浩2 前本篤男2 渡二郎2 蘆田知史2 垂石正樹1 高後裕2
所属機関: 1市立旭川病院消化器内科 2旭川医科大学第3内科
ページ範囲:P.1417 - P.1423
文献購入ページに移動1. 潰瘍性大腸炎診断における内視鏡検査および拡大内視鏡検査の役割
潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis ; UC)診療における内視鏡検査の役割として,①UCの診断および他疾患との鑑別,②病型の決定,③重症度の評価,④治療効果の判定(治療の継続,変更の決定など),⑤UCの長期経過例に合併するdysplasiaや大腸癌の診断などがある.UCの重症典型例では,潰瘍,びらん,出血などのマクロ的な所見が主体であるため,通常内視鏡検査のみで病変の評価は十分に可能であり,拡大内視鏡検査の診断的意義は少ない.一方,通常内視鏡検査では診断が困難な微細所見の拾い上げ,およびdysplasiaや粘膜内癌などの初期の腫瘍性病変の診断に拡大内視鏡検査が有用である.さらに臨床的緩解時期に拡大観察を行うことで通常内視鏡では緩解期様に見える粘膜がまだ活動期粘膜であるとの診断や,再燃までの期間を推定することなどによりUC難治化の予測が可能である.
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