icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸40巻10号

2005年09月発行

症例

残胃にみられた4型進行癌の1例

著者: 島岡俊治1 西俣寛人1 西俣嘉人1 新原亨1 仁王辰幸1 松田彰郎1 田代光太郎1 鳥丸博光1 末永豊邦2 今村博2 原口要3 原岡誠司4 岩下明徳4

所属機関: 1南風病院消化器科 2南風病院外科 3原口外科 4福岡大学筑紫病院病理

ページ範囲:P.1439 - P.1443

文献概要

患者 患者は79歳,男性.便秘を主訴に近医を受診した.上部消化管内視鏡検査で異常を指摘され精査目的で当院に入院となった.上部消化管内視鏡検査では残胃吻合部小彎,前壁に辺縁不整な潰瘍性病変がみられ,同部からの生検で低分化型腺癌と診断された.胃体上部から穹窿部にはひだの乱れがみられ一部に融合所見もみられた.胃X線検査では胃壁の伸展は比較的良好であるが,一部に粘膜の凹凸不整が目立ち,粘膜ひだに辺縁の不整像がみられた.残胃全摘術が施行された.残胃ほぼ全体を占める低分化型腺癌と診断された.腫瘍細胞は,吻合部小彎,穹窿部前壁の潰瘍性病変およびその周囲の粘膜に露出しているが,他の大部分では粘膜面に癌はみられず粘膜下層以深に癌は浸潤していた.残胃の検査の際にはその特異性を十分理解したうえで行う必要がある.

参考文献

1)日本胃癌学会(編).胃癌取扱い規約,13 版.金原出版,1999
2)細川治,山道昇,山崎信,他.手術間隔からみた残胃の早期がんの検討.癌の臨牀 35 : 587-596, 1989
3)上西紀夫,下山昇二,山口浩和,他.「残胃の癌」の分類と発生機序.消化器外科 16 : 1253-1265, 1993
4)荒川丈夫,榊信廣.残胃早期癌の治療―EMR の適応と手技.消化器内視鏡 11 : 1537-1541, 1999
5)中村恭一.Linitis plasticaへの道.胃癌の構造,2 版.医学書院,pp 250-251, 1996
6)大谷吉秀,杉野吉則,久保田哲朗,他.胃腫瘍診断におけるX線検査の有用性―外科治療の立場から.胃と腸 38 : 855-862, 2003
7)山田達哉,水口安則,縄野繁,他.残胃の癌の早期診断.外科 49 : 668-676, 1987
8)山田達哉,吉田茂昭,鈴木雅雄,他.残胃の癌のX線診断と内視鏡診断.胃と腸 17 : 1303-1312, 1982
9)磨伊正義,望月福治.胃疾患のX線・内視鏡診断と臨床病理.医学書院,p 57, 1993
10)谷口鎌一郎.幽門側胃切除後における残胃の癌の診断と経過観察に関する検討.鹿児島大学医学雑誌 55 : 63-72, 2003

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら