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文献詳細

雑誌文献

胃と腸40巻11号

2005年10月発行

今月の主題 小腸内視鏡検査法の進歩

主題症例

ダブルバルーン小腸内視鏡検査が診断に有用であった小腸動静脈奇形の1例

著者: 水谷孝弘1 本田邦臣1 武井涼子1 高橋誠1 吉永繁高1 松井謙明1 秋穂裕唯1 中村和彦1 神代由美子2 中村典資2 八尾隆史2 中村理恵子3 永井英司3 田中雅夫3 名和田新3 岩下明徳4

所属機関: 1九州大学大学院医学研究院病態制御内科学 2九州大学大学院医学研究院形態機能病理学 3九州大学大学院医学研究院臨床・腫瘍外科学 4福岡大学筑紫病院病理部

ページ範囲:P.1547 - P.1552

文献概要

要旨 症例は77歳,男性.繰り返すタール便と貧血を主訴に当科紹介入院となった.前医における上部・下部消化管内視鏡検査にて出血源を認めず,出血源は小腸にあると考えられた.ダブルバルーン小腸内視鏡検査を施行したところ,回腸に10mm程度の粘膜下腫瘍様隆起を認めた.隆起表面は発赤調粘膜に覆われており小潰瘍を伴っていた.その他の部位に局在病変を認めず前述の病変が出血源であると考え,病変部を含む小腸部分切除術を行った.病理組織学的には回腸壁全層に拡張した動静脈を認め動静脈奇形と診断された.原因不明の消化管出血に対しては小腸出血性病変の存在を念頭に置き,積極的に小腸内視鏡検査を施行するべきであると考えられた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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