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今月の主題 胃癌EMR後の異時性多発を考える 序説
胃癌EMR後の異時性多発を考える
著者: 浜田勉1
所属機関: 1社会保険中央総合病院消化器科
ページ範囲:P.1597 - P.1601
文献購入ページに移動はじめに
早期胃癌のEMR(endoscopic mucosal resection)が始められて約20年が経ち,多数の症例がEMR後定期的に経過観察されている.その経過中に遺残癌ではなく,他部位に癌が新たに発見されることを臨床では経験する.いったん癌を発生させた背景粘膜をそのまま残した胃に,EMR後の経過観察中,いつごろ,どのくらいの頻度で,どのような癌が認められるのか.この異時性多発癌は同時性多発癌とその後の胃癌の発育にも関係してくる包括的課題であり,胃癌を扱う消化管臨床医や病理医にとって一度は十分考慮しなければならない問題と言える.異時性多発癌については,過去,もっぱら胃癌手術後の残胃においての検討が主であり,本誌でも39巻7号「胃癌術後の残胃癌」に取り上げられたが,EMR後においてはどうであるのか,その頻度,部位,組織型やさらに発生の修飾因子やサーベイランスなどはまとめられておらず,今回,この異時性多発癌の実態をみるのが本号のねらいである.
早期胃癌のEMR(endoscopic mucosal resection)が始められて約20年が経ち,多数の症例がEMR後定期的に経過観察されている.その経過中に遺残癌ではなく,他部位に癌が新たに発見されることを臨床では経験する.いったん癌を発生させた背景粘膜をそのまま残した胃に,EMR後の経過観察中,いつごろ,どのくらいの頻度で,どのような癌が認められるのか.この異時性多発癌は同時性多発癌とその後の胃癌の発育にも関係してくる包括的課題であり,胃癌を扱う消化管臨床医や病理医にとって一度は十分考慮しなければならない問題と言える.異時性多発癌については,過去,もっぱら胃癌手術後の残胃においての検討が主であり,本誌でも39巻7号「胃癌術後の残胃癌」に取り上げられたが,EMR後においてはどうであるのか,その頻度,部位,組織型やさらに発生の修飾因子やサーベイランスなどはまとめられておらず,今回,この異時性多発癌の実態をみるのが本号のねらいである.
参考文献
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