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文献詳細

雑誌文献

胃と腸40巻12号

2005年11月発行

文献概要

今月の主題 胃癌EMR後の異時性多発を考える 主題

胃癌EMR後の異時性多発を考える―臨床を中心に

著者: 横井千寿1 中島健1 後藤田卓志1 池原久朝1 西元史哉1 松田尚久1 斉藤豊1 小田一郎1 斉藤大三1

所属機関: 1国立がんセンター中央病院消化器内視鏡部

ページ範囲:P.1602 - P.1608

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要旨 胃癌に対する内視鏡治療が普及して久しい昨今,内視鏡治療後の異時性癌に関する適切なサーベイランスが臨床上極めて重要である.国立がんセンター中央病院において,1992年12月~2004年12月に内視鏡的に切除された早期胃癌のうち,当院での治療が初発胃癌で,1年以上経過の追えた1,139例を対象とした.異時性癌は“初発病変治療後1年以上経過した後に胃の他部位に発生した新規病変”と定義した.発生頻度は6.8%,観察中央値35か月の累積発生率は8.2%.統計学的に有意差をもって男性に多く認められた.異時性癌に対する内視鏡治療の適応は,ガイドライン病変・適応拡大病変に対して一括断端陰性治癒切除が得られれば良好な予後が期待できると推測された.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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