icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸40巻12号

2005年11月発行

文献概要

症例

貧血が診断の契機となった巨大な胃炎症性類線維ポリープの1例

著者: 多田俊史1 瀧本和雄1 菅本常夫2 川村道広3 湧谷純4

所属機関: 1東神戸病院内科 2東神戸病院外科 3東神戸病院検査科 4神戸協同病院中央検査科病理

ページ範囲:P.1703 - P.1707

文献購入ページに移動
要旨 患者は,71歳,男性.健診で貧血を指摘され,精査のため当院を受診.上部消化管内視鏡検査で,胃体上部大彎に約7cmの巨大な腫瘤性病変が認められた.腫瘤の表面は比較的平滑であるが,一部にびらん性の変化が認められた.また上部消化管造影でも同様に巨大な腫瘤性病変が認められた.内視鏡時の生検では診断に至らなかったが,胃の腫瘤性病変が貧血の原因と考えられ,手術が施行された.摘出標本から病理学的に胃炎症性類線維ポリープ(IFP)と診断された.IFPは無症状で発見されることも多いが,本症例の場合,巨大であり,潜在的な出血から貧血を来したと考えられた.

参考文献

1)Konjetzny GE. Uber magenfibroma. Beitrage zur klinischen Chirurgie 119 : 53-61, 1920
2)林逸郎,有田毅,森松稔.消化管症候群(下巻)―腸 inflammatory fibroid polyp(IFP).日本臨牀領域別症候群シリーズ 6 : 336-339, 1994
3)Helwing EB, Ranier B. Inflammatory fibroid polyp of stomach. Surg Gynecol Obstet 96 : 355-367, 1953
4)岸本秀雄.消化管症候群(上巻)―胃炎症性類線維ポリープ.日本臨牀領域別症候群シリーズ 5 : 345-347, 1994
5)Johnstone JM, Morson BC. Inflammatory fibroid polyp of the gastrointestinal tract. Histopathology 2 : 349-361, 1978
6)庄達夫,石原清宏,山崎泰弘,他.巨大なInflammatory Fibroid Polypの1例.外科 38 : 1066-1069, 1976
7)山邉和生,荻野信夫,小川法次,他.巨大な胃inflammatory fibroid polypの1例―本邦報告例138症例の集計および検討.日臨外会誌 51 : 1972-1975, 1990
8)大塚英郎, 和田靖, 阿部道夫, 他. 巨大な胃inflammatory fibroid polypの1例. 日臨外会誌 61 : 2326-2330, 2000
9)長南明道,望月福治,池田卓,他.内視鏡的に切除された胃inflammatory fibroid polyp(IFP)9例の検討.Gastroenterol Endosc 30 : 1504-1509, 1998
10)岩川和秀,田中仁,梶原伸介,他.病変内に膿瘍を形成した横行結腸inflammatory fibroid polypの1例.日臨外会誌 63 : 2727-2729, 2002
11)Tada S, Iida M, Yao T, et al. Endoscopic removal of inflammatory fibroid polyps of the stomach. Am J Gastroenterol 86 : 1247-1250, 1991

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?