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編集後記
著者: 大谷吉秀
所属機関:
ページ範囲:P.1712 - P.1712
文献購入ページに移動 早期胃癌に対する究極の治療法であるEMRは,早期胃癌症例の増加に伴い1980年代半ばにスタートし,既に20年が経過した.外科手術に比べ,治療後のQOLの維持という点からは画期的な治療法であり,今日の技術の向上は,さらに大きな病変の一括切除を可能にした.
しかしながら,胃癌発生の危険性が高い粘膜環境をそのまま温存することから,残った胃粘膜に新たな癌が発生するのではないか,という疑問ははじめから危惧されていた.今回の主題「胃癌EMR後の異時性多発を考える」は,これらに答えることを目指して企画されたが,予想どおり興味ある成績が明らかにされた.すなわち,EMR後の異時性多発癌が,全症例の3.8%〔43/1,142〕(上堂論文),6.8%〔78/1,139〕(横井論文),7.4%〔14/190〕(細川論文)に発見されている.異時性多発癌の早期発見には,胃粘膜そのものが発癌高危険状態であることを認識した上で,年1回,できるだけ長期にわたるfollow upの継続が必要なことがあらためて確認された.
しかしながら,胃癌発生の危険性が高い粘膜環境をそのまま温存することから,残った胃粘膜に新たな癌が発生するのではないか,という疑問ははじめから危惧されていた.今回の主題「胃癌EMR後の異時性多発を考える」は,これらに答えることを目指して企画されたが,予想どおり興味ある成績が明らかにされた.すなわち,EMR後の異時性多発癌が,全症例の3.8%〔43/1,142〕(上堂論文),6.8%〔78/1,139〕(横井論文),7.4%〔14/190〕(細川論文)に発見されている.異時性多発癌の早期発見には,胃粘膜そのものが発癌高危険状態であることを認識した上で,年1回,できるだけ長期にわたるfollow upの継続が必要なことがあらためて確認された.
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