文献詳細
今月の主題 いわゆる側方発育型大腸腫瘍の治療法を問う
主題
いわゆる側方発育型大腸腫瘍の定義の歴史
著者: 工藤進英1 下田良1 樫田博史1 山野泰穂2 藤井隆広3 寺井毅4 木俣博之5
所属機関: 1昭和大学横浜市北部病院消化器センター 2秋田赤十字病院消化器病センター 3藤井隆広クリニック 4順天堂大学医学部消化器科 5木俣外科消化器科医院
ページ範囲:P.1721 - P.1725
文献概要
大腸上皮性腫瘍の中には,ポリープのように上方向発育するものと,IIcのように下方向発育するものの他に,側方に発育進展していく腫瘍群がある.その中で腫瘍径10mmを超える同腫瘍群がLST(laterally spreading tumor)と称する.LSTは顆粒型(granular type)と非顆粒型(non-granular type)に分類されるが,前者は以前,顆粒集簇型あるいは結節集簇様病変とされていた腫瘍群に相当する.一方,それ以外にも顆粒・結節を形成せず側方発育形態をとる腫瘍群が認められるようになり,LST非顆粒型と呼称される.側方発育型の特徴を有する両者を総称しLSTとされた.近年様々な施設で,病理学的・遺伝子学的解析が行われるようになり,その臨床像が明らかになりつつあり,EMR・ESDなど内視鏡的治療が進化し続ける今日において,腫瘍の質的・量的診断は不可欠である.LSTにおいても今後さらなる解析のもとに適切な治療法が選択されることが重要である.
参考文献
掲載誌情報