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今月の主題 いわゆる側方発育型大腸腫瘍の治療法を問う 主題
いわゆる側方発育型大腸腫瘍における治療法選択のための質的診断―内視鏡診断(拡大内視鏡を中心に)
著者: 山野泰穂1 松下弘雄12 黒田浩平1 佐藤健太郎1 吉川健二郎1 東谷芳史1 山内俊一13 田端美弥子13 高木亮14 林武雅15
所属機関: 1秋田赤十字病院消化器病センター 2人吉総合病院外科 3聖マリアンナ医科大学消化器・肝臓内科 4岩手医科大学臨床病理部 5昭和大学横浜市北部病院消化器センター
ページ範囲:P.1759 - P.1769
文献購入ページに移動側方発育型腫瘍(LST)に対する治療法の選択を考えた場合,病変に対する病理学的特徴を把握したうえでの質的診断が重要である.LSTをその肉眼形態的に顆粒型(granular)と非顆粒型(non-granular)に大きく二分し,さらに前者をhomogeneous(以下 LST-G-H),nodular mixed(以下 LST-G-M)の2群に,また後者をflat(以下 LST-NG-F),pseudo-depressed(以下 LST-NG-PD)の2群の分け,計4群に分類して検討した.LST-G-MとLST-NG-PDでは担癌率,sm癌率とも他の群と比較して高い傾向にあり,各群とも腫瘍径の増大とともにこの傾向は顕著となり,sm深部浸潤癌の比率も増加した.pit patternの検討では,顆粒型はIV型が中心に構成されていたが,非顆粒型ではIIIL-2型が主体を成しており形態の成因を示唆するものであった.いずれの形態でもIIIL型,IV型にはsm癌は存在せず,内視鏡的切除は容認される.特に腫瘍径20mm以下の病変では十分に一括切除できるため積極的に切除すべきと考えられた.一方VN型を示した病変はsm癌であり内視鏡の適応から除外できると判断できた.しかしVI型を示した病変では粘膜内癌を中心に中等度異型以下の腺腫からsm癌まで幅広く存在し,特にLST-G-M群とLST-NG-PD群ではsm癌の比率が他の群よりも高い結果を得た.以上よりVI型を示す病変では,LSTの形態を考慮した診断が要求され,腫瘍径が20mm以下であってもsmが存在し,かつ深部浸潤癌も存在するため安易な治療は避けなければならないと考え,切除したとしても十分な病理評価,特に粘膜下層の評価が行えるように切除する必要があると思われた.
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