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今月の主題 いわゆる側方発育型大腸腫瘍の治療法を問う 主題
いわゆる側方発育型大腸腫瘍の治療―私はこう考える
著者: 鶴田修12 河野弘志12 唐原健12 吉森建一12 佐々木英3
所属機関: 1久留米大学医学部第2内科 2久留米大学医学部消化器病センター 3共愛会戸畑共立病院
ページ範囲:P.1824 - P.1826
文献購入ページに移動側方発育型腫瘍(laterally spreading tumor ; LST)とは工藤が提唱した大腸腫瘍の発育形態分類で“上方向発育に比較して側方向への発育傾向が極端に強い丈の低い隆起性病変である”と定義されている1).大腸癌取扱い規約の肉眼的分類2)にあてはめると無茎型(Is´)の中のいわゆる結節集簇様病変(nodule aggregating lesion ; NAL)と表面隆起型(IIa´)の一部の病変がLSTに相当すると思われる.その後工藤はLSTの大きさの定義を1cm以上とし,形態学的にLSTを顆粒型(granular type)と非顆粒型(non-granular type)に分類し,さらに顆粒型を顆粒均一型と結節混在型に,非顆粒型をflat elevated typeとpseudo-depressed typeに細分類している3).
われわれの経験では顆粒型は病巣の大部分が腺腫であるが,結節混在型の中の大きい結節や発赤の強い部に一致して癌の存在することがよくあり,同部に緊満感を伴う場合や明瞭な陥凹が存在する場合は粘膜下層以深にmassiveに癌が浸潤していることが多い.非顆粒型は顆粒型より組織学的異型度が高い病変が多く,腺腫内癌や腺腫の併存しない癌が少なからず存在する.特にpseudo-depressed typeでは病巣の数か所で癌が粘膜下層に微少浸潤している場合がよく存在する.粘膜下層以深にmassiveに癌が浸潤すると顆粒型と同様の浸潤所見を呈するが粘膜内病変が低い分,その診断は非顆粒型のほうが容易である.
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