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文献詳細

雑誌文献

胃と腸40巻2号

2005年02月発行

文献概要

今月の主題 大腸カルチノイド腫瘍 転移例と非転移例の比較を中心に 主題

直腸カルチノイド腫瘍の画像診断―X線・内視鏡・EUS:転移例と非転移例の比較を中心に

著者: 小林広幸1 渕上忠彦1 津田純郎2 松本主之3 平川克哉4 田畑寿彦5 菊池陽介2 和田陽子2 八尾恒良2 岩下明徳6 工藤哲司3 飯田三雄3 八尾隆史7 大城由美8

所属機関: 1松山赤十字病院消化器科 2福岡大学筑紫病院消化器科 3九州大学大学院医学研究院病態機能内科学 4福岡赤十字病院内科 5直方中央病院内科 6福岡大学筑紫病院病理 7九州大学大学院医学研究院形態機能病理学 8松山赤十字病院病理

ページ範囲:P.163 - P.174

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要旨 多施設から集計した直腸カルチノイド114例(119病変)を,転移例(7例7病変)と非転移例(107例112病変)に分け,臨床像,X線,内視鏡および超音波内視鏡(EUS)所見を比較検討した.転移の可能性の指標は大きさ10mm以上,中心陥凹(潰瘍),深達度mp以深であった.転移例と非転移例の画像所見の比較では,内視鏡は陥凹の有無以外に差はみられなかったが,1病変を除き病変は良好に観察できていた.X線は内視鏡に比べ微小な病変(5mm未満)や浅い陥凹では描出困難なものがみられ,側面変形の出現率も低率であったがmp以深の3病変はすべて変形を伴っていた.一方,EUSでは転移例は不均一なエコーパターンを呈する病変が多く,深達度診断(smとmp以深の鑑別)では1例を除き正診されていた.直腸カルチノイドの質的診断では,内視鏡による大きさの推測や陥凹の有無を観察し,EUSにてより正確な腫瘍径と深達度診断を行い,悪性度の指標が認められればX線検査を追加することが有用と考えられた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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