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文献詳細

雑誌文献

胃と腸40巻2号

2005年02月発行

文献概要

早期胃癌研究会症例

集簇性の乳頭状隆起を呈した腸管子宮内膜症の1例

著者: 宗本義則1 海崎泰治2 林田有一1 竹原朗 川口雅彦 堀田幸次郎 大端考 斉藤英夫 藤沢克憲 笠原善郎 三井毅 浅田康行 飯田善郎 三浦将司

所属機関: 1福井県済生会病院外科 2福井県立病院病理

ページ範囲:P.239 - P.244

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要旨 便秘を主訴に受診した35歳女性で,特異な形態を示した腸管子宮内膜症を経験した.大腸内視鏡検査で,S状結腸に半周性のなだらかな立ち上がりの粘膜下隆起による狭窄が存在し,その上に発赤し,光沢のある,軽度浮腫状の乳頭状を呈した隆起の集簇を認めた.注腸X線検査では狭窄の立ち上がりがなだらかで,粘膜下腫瘍様形態を呈することが明らかとなった.腸管子宮内膜症を疑ったが,狭窄が強く,診断的治療もかねて腹腔鏡下結腸切除術を施行した.摘出されたS状結腸には約2cmの幅で,浮腫状で,境界不明瞭な輪状の狭窄が存在し,粘膜面には発赤した2~5mmほどの乳頭状隆起の集簇が存在した.病理組織学的に粘膜固有層から粘膜下層,固有筋層に子宮内膜組織が侵入しており,腸管子宮内膜症と診断された.腸管子宮内膜症は,本例のように子宮内膜組織が腸管粘膜内に存在すると,上皮性腫瘍様形態を呈する場合があり注意を要する.

参考文献

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2)Scully RE, Mark EJ, Mcneely WF, et al. Case records of the Massatusetts General Hospital. N Engl J Med 335 : 807-811, 1996
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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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