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文献詳細

雑誌文献

胃と腸40巻2号

2005年02月発行

文献概要

症例

回盲弁にみられたIIa+IIc型早期癌の1例

著者: 有田毅1 阿部寿徳1 廣石和章1 横山浩孝1 板東登志雄1 佐藤俊三1 八尾隆史2

所属機関: 1有田胃腸病院 2九州大学大学院医学研究院形態機能病理

ページ範囲:P.257 - P.260

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要旨 患者は,81歳,男性.早期胃癌に対して幽門側胃切除術を施行して以来,定期観察中であった.約2年ぶりに下部消化管内視鏡検査(CF)を行ったところ,回盲弁上唇にIIa+IIc様病変が認められた.バリウム注腸X線検査では,回盲弁上唇に不整形の淡いバリウム斑がみられた.生検結果では腺腫だったが,悪性を否定できず,手術を行った.術中内視鏡にて病変の全体像を確認し,回盲弁上唇に発生した早期癌,IIa+IIc,深達度sm以深,と考え,第2群リンパ節郭清を伴う回盲部切除を施行した.その結果,深達度はmにとどまる高分化型腺癌だった.回盲弁から発生した表面陥凹型早期癌の報告例はなく,極めてまれと思われた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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