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文献詳細

雑誌文献

胃と腸40巻3号

2005年03月発行

文献概要

今月の主題 特殊組織型の食道癌 主題

特殊組織型の食道癌―X線の立場から

著者: 今井裕1 長島礼奈1 那須政司1 市川珠紀1 幕内博康2 島田英雄2 千野修2 西隆之2 釼持孝弘2 山本壮一郎2 加藤優子3

所属機関: 1東海大学医学部基盤診療学系画像診断科 2東海大学医学部外科 3東海大学医学部病理診断科

ページ範囲:P.301 - P.309

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要旨 扁平上皮癌以外の特殊組織型を示す食道癌は極めてまれな腫瘍である.これまでに51例の扁平上皮癌以外の組織型を示す食道腫瘍を経験し,その内訳は類基底細胞癌15例,小細胞型未分化癌14例,癌肉腫8例,腺扁平上皮癌7例,腺様嚢胞癌2例,悪性黒色腫2例,粘表皮癌1例,そのほかカルチノイド1例,GIST1例であった.いずれも隆起を主体とする腫瘍が多く,X線診断では,①隆起の形状と高さ,②隆起の立ち上がり所見,③表面の性状,④周囲への上皮内進展の有無などを描出しなければならない.上皮下への進展を有する食道癌は扁平上皮癌においても経験されるが,表面平滑で急峻な立ち上がりを示す腫瘍では扁平上皮癌以外の食道癌,特に小細胞型未分化癌や腺様嚢胞癌を考えなければならない.一方,類基底細胞癌ではなだらかな立ち上がりを示す.また丈が高く表面が結節状で不整な病変は,癌胞巣の増殖に伴う形態変化であり,類基底細胞癌および小細胞型未分化癌いずれでも認められるが,扁平上皮癌とは異なり各結節の表面は平滑で,隆起間の溝の線もやわらかさを持っている.腺様嚢胞癌は,表面平滑な広基性隆起として描出されるのに対して,悪性黒色腫の隆起基部は狭く亜有茎性隆起を示す傾向にある.また特殊組織型の食道癌は,進行すると転移の可能性は扁平上皮癌よりも高い傾向にあり,これらの腫瘍の早期発見と診断は,予後を決定する大変重要な役割を担っている.

参考文献

1)森岡恭彦,森亘,武藤徹一郎,他(編).消化管外科病理学.医学書院.1989
2)第49回食道疾患研究会アンケート集計報告表在癌.(当番世話人小玉正智)1995年6月
3)日本食道疾患研究会(編).食道癌取扱い規約,9版.金原出版.pp 43-45, 1992
4)Fenoglio-Preiser CM, Lantz PE, Listrom MB, et al. Chapter 4. The Neoplastic Esophagus. Gastrointestinal Pathology : an Atlas and Text, 2nd ed. LippincottRaven, pp 93-132, 1999
5)Akamatsu T, Honda T, Nakayam J, et al. Primary adenoid cystic carcinoma of the esophagus. Report of a case and its histochemical characterization. Acta Pathol Jpn 36 : 1707, 1986
6)Bell-Thompson J, Haggitt RC, Ellis FH Jr. Mucoepidermoid and adenoid cystic carcinoma of the esophagus.esophagus. J Thorac Cardiovasc Surg 79 : 438, 1980
7)門馬久美子,吉田操,山田義也,他.粘膜下腫瘍様の形態を示した食道表在癌―臨床および画像的特徴,鑑別診断.胃と腸 38 : 1505-1518, 2003

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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