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文献詳細

雑誌文献

胃と腸40巻3号

2005年03月発行

文献概要

今月の主題 特殊組織型の食道癌 主題

特殊組織型の食道癌―内視鏡の立場から(EUSも含めて)

著者: 神津照雄1 時田健二1 渡辺良之1 菱川悦男1 平野和哉1 青木泰斗2 宮崎信一2 松原久裕2 落合武徳2 二階堂孝3

所属機関: 1千葉大学医学部附属病院光学医療診察部 2千葉大学大学院医学研究院先端応用外科 3東京慈恵医科大学病理学

ページ範囲:P.337 - P.353

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要旨 本邦では食道癌の組織型の93%以上が扁平上皮癌であり,今回の特集の主旨は扁平上皮癌およびBarrett食道癌を除いた特殊組織型の特徴像を浮き彫りにすることにある.筆者らは,①色調の特徴から,②形態の特徴から(粘膜下腫瘍様形態を示すもの,複雑な内視鏡形態の混在を呈するもの),③癌占居部位の特徴,の観点から検討した.色調の点からは悪性黒色腫を提示し,1例は重粒子線(Heavy-Ion radiotherapy)により黒色が消失していく経過を示した.粘膜下腫瘍様形態を示すものとして類基底細胞癌を深達度の深さごとに提示し,内視鏡画像の面から腫瘍表面の陥凹の増大していく形態を提示した.小細胞癌の1例は進行癌であったが,超音波内視鏡所見として低エコー病巣内に細かいスポットの密集が観察された.複雑な内視鏡形態の混在を呈した腺扁平上皮癌の症例では術前の放射線化学療法でその形態が変化していき,癌遺残の部分の所見を提示した.Barrett上皮を伴わない下部食道腺癌の症例は食道噴門腺から発生したまれな症例であり,超音波内視鏡検査の方法およびその画像を提示した.

参考文献

1)Comprehensive Registry of Esophageal Cancer in Japan (1998,1999) & Long-term Results of Esophagectomy in Japan(1998-1997), 3rd Edition. The Japanese Society for Esophageal Diseases, 2002
2)神津照雄,山田英夫,小野田昌一,他.表在食道癌におけるルゴール染色の診断学的価値.胃と腸 22 : 1395-1401, 1987
3)田久保海誉.食道の病理,2版.総合医学社,pp 219-225, 1996
4)吉田操,門馬久美子,葉梨智子,他.特殊食道癌の内視鏡診断.病理と臨床 20 : 496-501, 2002
5)千葉明彦,徳永誠,蓮尾公篤,他.食道悪性黒色腫.日本食道疾患研究会(編).食道疾患レアケース・アトラス.医学書院,pp 208-211, 1999
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7)渡邉顕一郎,緒方伸一,永田正喜,他.食道原発小細胞型未分化癌の1例.胃と腸 38 : 1604-1607, 2003
8)有馬美和子,神津照雄,小出義雄,他.類骨形成を伴った食道の“いわゆる癌肉腫”の1 例.胃と腸 30 : 1437-1444, 1995
9)Endoh Y, Miyawaki M, Tamura G, et al. Esophageal adenocarcinoma that probably originated in the esophageal gland duct : A case report. Pathol Int 49 : 156-159, 1999
10)Arima M. A detailed survey of superficial esophageal cancer with histological features other than squamous cell carcinoma in Japan. Dig Endosc 11 : 12-23, 1999

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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