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文献詳細

雑誌文献

胃と腸40巻3号

2005年03月発行

文献概要

今月の主題 特殊組織型の食道癌 主題症例

食道のいわゆる癌肉腫の1例

著者: 岡崎靖史1 宮崎信一1 青木泰斗1 飛田浩二1 石川千佳1 井上雅仁1 久保嶋麻里1 堀部大輔1 岡住慎一1 島田英昭1 松原久裕1 二階堂孝2 永井雄一郎3 神津照雄4 落合武徳1

所属機関: 1千葉大学大学院医学研究院先端応用外科学 2東京慈恵会医科大学病理学講座 3千葉大学大学院医学研究院病理部 4千葉大学大学院医学研究院光学医療診療部

ページ範囲:P.389 - P.392

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要旨 患者は55歳,男性.約4か月前から食物通過障害が出現し,食道腫瘍を指摘されて当院紹介となった.上部消化管造影および内視鏡検査所見では下部食道を中心とした長径約9cmの巨大な1型腫瘍を認めた.診断的EMRにて癌肉腫の診断となり,右開胸開腹胸部食道全摘,胸骨後経路頸部食道胃管吻合術を行った.病理組織検査にて,紡錘形細胞から成る肉腫様成分と扁平上皮癌が混在し,両者間に移行像を認めたことから“いわゆる癌肉腫”と診断された.術後3か月目に多発性肝転移,7か月目に肺転移が判明し,手術から約9か月後に癌死された.比較的まれな食道の“いわゆる癌肉腫”の1例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する.

参考文献

1)日本食道疾患研究会(編).食道癌取扱い規約,9版.金原出版,1999
2)Virchow R. Die Krankhaften Geschwulste, vol.2. A Hirschwald. Berlin, pp 181-182, 1864
3)Von Hansemann D. Das gleichzeitige Vorkommen verschiedenartiger Geschwülste bei der selben Person. Z Krebsforsch : pp 183-198, 1904
4)沓掛諒.食道カルチノザルコームの1例.日病理会誌 19 : 763-769, 1929
5)市川和人,曽我俊彦,村田哲也,他.食道癌肉腫の1例―本邦147報告例の臨床病理学的検討.三重医 37 : 485-489, 1993
6)有馬美和子,神津照雄,小出義雄,他.類骨形成を伴った食道の“いわゆる癌肉腫”の1例.胃と腸 30 :1437-1444, 1995
7)板橋正幸,王卓,廣田映五,他.食道の“癌肉腫”の病理学的所見と組織発生.病理と臨 14 : 1125-1131, 1996
8)大倉康男.食道原発癌肉腫の臨床と病理─その細分類の問題点.病理と臨 20 : 489 495, 2002
9)畑倫明,渡辺明彦,奥村徹,他.食道癌肉腫の1例.日臨外会誌 53 : 2417-2421, 1992
10)北薗正樹,島田麻里緒,夏越祥次,他.特異な発育形式をとった“食道のいわゆる癌肉腫”の1例.日消外会誌 30 : 1922-1926, 1997
11)浜辺豊,佐藤美晴,小谷陽一,他.肉腫様組織成分を伴った食道癌について―自験例5例と癌肉腫・偽肉腫としての本邦報告63例の検討.外科治療 52 : 255-264, 1985
12)三宅基隆,丸田力,神山久信,他.放射線化学療法が有効であった食道癌肉腫の1例.癌の臨床 49 : 127-131, 2003

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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