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文献詳細

雑誌文献

胃と腸40巻3号

2005年03月発行

文献概要

今月の主題 特殊組織型の食道癌 主題症例

内視鏡的に切除した食道類基底細胞(扁平上皮)癌の2例

著者: 高木靖寛12 松井敏幸1 岩下明徳2 矢野豊2 高尾英介2 菊池陽介2 八尾恒良1

所属機関: 1福岡大学筑紫病院消化器科 2福岡大学筑紫病院病理部

ページ範囲:P.403 - P.409

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要旨 〔症例1〕59歳,男性.内視鏡検査で門歯より32cmに立ち上がりなだらかな丈の低い隆起性病変(0-IIa)を認めた.隆起の表面は平滑で大部分が正常上皮に覆われていたが,頂部に浅い陥凹が認められた.X線検査では表面はやや顆粒状であった.生検では扁平上皮癌を疑う異型上皮が認められ,内視鏡的に切除した.腫瘍径は8×8mm,深達度sm2(520μm)で,ly0,v0であった.なお,門歯より22cmにも半周性のm2癌が認められた.〔症例2〕76歳の男性で,内視鏡的に切除された同時多発性食道早期癌の追跡中,中部食道に粘膜下腫瘍様隆起(0-Isep)が認められた.表面は正常上皮に覆われ平滑であったが,丈が高く緊満感を伴っていた.X線検査では立ち上がりはやや不整で,表面には淡いバリウム斑が認められた.生検では扁平上皮癌が疑われ,内視鏡的に切除した.腫瘍径は9×7mm,深達度sm2(2,600μm)で,ly0,v0であった.いずれも放射線治療を追加し4年8か月,3年2か月間,無再発生存中である.

参考文献

1)第49回食道疾患研究会アンケート報告,表在癌(当番世話人: 小玉正智).1995年6月
2)高木靖寛,櫻井俊弘,岩下明徳,他.粘膜下腫瘍様発育を呈した食道類基底細胞(扁平上皮)早期癌の1例.胃と腸 32 : 723-729, 1997
3)幕内博康,島田英雄,千野修,他.粘膜下腫瘍様の食道表在癌の内視鏡診断.胃と腸 32 : 701-709, 1997
4)門馬久美子,吉田操,山田義也,他.粘膜下腫瘍様の形態を示した食道表在癌―臨床および画像的特徴,鑑別診断.胃と腸 38 : 1505-1518, 2003
5)日本食道疾患研究会(編).臨床・病理食道癌取扱い規約,9版.金原出版,1999
6)板橋正幸. 組織型と増殖・進展様式. 胃と腸 30 : 417-430, 1995
7)井出博子,遠藤光夫.食道腫瘍の臨床病理.医学書院,pp 76-77, 1984
8)目黒英二,石田薫,佐藤信博,他.食道類基底細胞癌の4例.岩手医誌 48 : 225-232, 1996

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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