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文献詳細

雑誌文献

胃と腸40巻4号

2005年04月発行

文献概要

特集 消化管の出血性疾患2005 総論 1.消化管出血に対する初期対応と診察手順

消化管出血に対する初期対応と診察手順

著者: 浜田勉1 近藤健司1 北條裕美子1 田村俊明1 花田健治1 東馨2

所属機関: 1社会保険中央総合病院消化器科 2こころとからだの元氣プラザ内科

ページ範囲:P.431 - P.437

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要旨 消化管出血の症状である吐血と下血についてその臨床における初期対応を述べた.吐血では新鮮血のこともコーヒー残渣様のこともあるが,Treitz靱帯より口側の消化管出血に起因すると考える.吐血量,既往歴,飲酒,ストレス,薬剤服用などの病歴聴取は重要である.早期に上部消化管内視鏡検査を行い,出血部位の同定が第一歩である.下血では便の色調が重要で,黒色便では上部消化管からの出血が多く,暗赤色~鮮血便では大腸からの,さらに排便後の鮮血出血では肛門病変(ほとんど内痔核)からの出血を考える.問診では抗生物質やNSAIDs服用の有無,海外渡航歴,心・肺・腎疾患の有無,腹痛の有無などの確認が必要である.ショック状態での対応では全身管理とともに出血量の把握と輸液や輸血による循環血液量の改善が必要である.経鼻胃管の挿入後,できるだけ早い時期に緊急上部消化管内視鏡検査を行い,出血源の診断と止血を完了させる.実際の臨床では消化管出血は60歳以上の高齢者が64.6%を占め,上部消化管内視鏡検査では52.6%は胃内に新鮮血ないし凝血の残存を認め,また,出血源不明が9.6%に認められた.

参考文献

1)宮崎正夫.ショック総説.救急医学セミナー,日本救急医学会誌,へるす出版,p 53, 1976
2)Palmer ED. The vigorous diagnostic approach to upper gastrointestinal tract hemorrhage. JAMA 207 : 1477, 1969
3)Foster DN, Miloszewski KJA, Losowsky MS. Stigmata of recent haemorrhage in diagnosis and prognosis of upper gastrointestinal bleeding. Br Med J 1 : 1173-1177, 1978
4)熊田卓,綿引元,中野哲,他.上部消化管出血の臨床的検討(第2報),緊急内視鏡検査による出血性胃潰瘍の臨床的検討.Gastroenterol Endosc 22 : 1169-1178, 1980
5)水町宗治,川野博章,木村輝昭,他.出血性胃潰瘍における止血不能および再出血予測因子の検討―各因子と予後との統計学的相関.消化器内視鏡 6 : 29-37, 1994

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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