icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸40巻4号

2005年04月発行

文献概要

特集 消化管の出血性疾患2005 総論 3.消化管の出血性疾患の鑑別診断

3)大腸の出血性疾患

著者: 平田一郎1 村野実之1 井上拓也1

所属機関: 1大阪医科大学第2内科

ページ範囲:P.519 - P.528

文献購入ページに移動
要旨 大腸出血性疾患を頻度順に述べると大腸癌・大腸ポリープ,炎症性腸疾患,虚血性大腸炎,大腸憩室,感染性腸炎であった.また,大腸出血性疾患の頻度を年齢別に検討したところ,炎症性腸疾患が若年群では最も高頻度で,大腸癌・大腸ポリープは中年群・高年群で最も高頻度にみられた.また,感染性腸炎は若年群や中年群で,大腸憩室は高齢群・中年群で,急性出血性直腸潰瘍症は高齢群で,虚血性腸炎はどの年代群でも比較的高率に認められた.大腸出血性疾患のうち急性発症で血性下痢を伴うものは,虚血性腸炎,感染性腸炎,抗生物質起因性腸炎などが考えられる.慢性的な血便は,大腸癌,潰瘍性大腸炎,アメーバ赤痢,腸結核,Crohn病,腸型Behҫet病,単純性潰瘍が考えられる.大量の血便排出は,憩室炎,vascular ectasia,急性出血性直腸潰瘍,潰瘍性大腸炎,Crohn病などが考えられる.脳血管障害などの重症基礎疾患を有し長期臥床中の高齢者が,無痛性で大量の新鮮血排出を来した場合,急性出血性直腸潰瘍であることが多い.

参考文献

1)勝又伴栄,五十嵐正広,小林清典,他.大腸出血を見たら―大腸出血へのアプローチ.消化器内視鏡 11 : 1233-1239, 1999
2)大川清孝,中村志郎,大磯龍太,他.Crohn病診断基準の問題点―臨床の立場から.胃と腸 36 : 159-166, 2001
3)蒲池紫乃,岩下明徳,八尾恒良,他.Crohn病診断基準の問題点―病理の立場から生検における非乾酪性類上皮細胞肉芽腫を中心に.胃と腸 36 : 175-182, 2001
4)平田一郎.炎症性腸疾患(CD,UC)との鑑別を要する腸管感染症.胃と腸 37 : 321-330, 2002
5)林繁和,江崎正則,山田昌弘,他.Campylobacter腸炎の大腸内視鏡像の検討.Gastroenterol Endosc 29 : 912-919, 1987
6)吉岡政洋,日比紀文.抗生物質起因性腸炎.総合臨床 45 : 1561-1560, 1996
7)平田一郎,勝健一.感染性腸炎との鑑別診断―虚血性腸炎,薬剤性腸炎,IBD.臨牀消化器内科 19 : 1169-1176, 2004
8)Patterson M, Healy R, Shabot M. Serologic testing for amoebiasis. Gastroenterology 78 : 435-439, 1980
9)平田一郎.潰瘍性大腸炎ステロイド治療中に症状が増悪した症例.CLINICIAN 527 : 73-75, 133-135, 2004
10)中村志郎,大川清孝,原順一,他.急性出血性直腸潰瘍の成因に関する研究―側臥位と仰臥位における直腸粘膜血流の検討.Gastroenterol Endsc 38 : 1481-1487, 1996
11)Lee J. Radiation proctitis―A niche for the argon plasma coagulator. Gastrointestinal Endosc 56 : 779-781, 2002

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?