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文献詳細

雑誌文献

胃と腸40巻4号

2005年04月発行

文献概要

特集 消化管の出血性疾患2005 疾患各論

11.虚血性腸炎小腸・大腸

著者: 小林清典1 勝又伴栄1 五十嵐正広1 春木聡美1 小川大志1 吉澤繁1 佐田美和1 西元寺克禮1 岡安勲2

所属機関: 1北里大学東病院消化器内科 2北里大学東病院病理

ページ範囲:P.599 - P.606

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要旨 虚血性大腸炎は,出血を来す代表的な下部消化管疾患である.重症例では壊疽型や狭窄型へ進展する場合があり,病型診断が治療法の選択に重要である.壊疽型や狭窄型への進展例では,大腸内視鏡で評価した病変部粘膜が暗赤色調を呈し浮腫も高度で,特に壊疽型では灰緑色調を呈する.合併する潰瘍も深く,腸管全周に及ぶ場合が多い.治療は,一過性型は保存的治療で良いが,壊疽型は緊急手術が必要である.なお狭窄型では,発病後1か月以上経過しても全周性狭窄部に開放性潰瘍が残存する例では外科手術を考慮する.虚血性小腸炎はまれな疾患で下血を来す頻度は低いが,全周性の管状狭窄へ進展し,外科手術が必要になる場合が多い.

参考文献

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11)勝又伴栄,岡部治弥,中英男.虚血性小腸狭窄の臨床的および病理組織学的研究.日内会誌 74 : 1658-1671, 1985

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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