icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸40巻4号

2005年04月発行

文献概要

特集 消化管の出血性疾患2005 疾患各論

13.薬剤性出血性腸炎

著者: 富安信夫1 鶴田修1 光山慶一1 河野弘志1 唐原健1 吉森建一1 豊永純2 佐田通夫1

所属機関: 1久留米大学医学部第2内科 2久留米大学消化器病センター

ページ範囲:P.611 - P.615

文献購入ページに移動
要旨 薬剤性腸炎は薬剤の投与により腸管にびらんや潰瘍などの炎症性変化を生じ下痢や下血などの臨床症状が惹起される疾患であり,下血を来す代表的なものに急性出血性大腸炎とNSAIDs起因性腸炎がある.急性出血性大腸炎は右側大腸に好発し,合成ペニシリンなどの抗生物質投与によって引き起こされてアレルギーや微小循環不全,腸内細菌叢の変化などが原因と考えられている.一方,NSAIDs起因性腸炎は全消化管に起こり,近年になって大腸病変からの出血例も報告が増加してきており,prostaglandin合成障害による粘膜防御機構の破綻や腸管粘膜の透過性亢進などが原因と考えられている.これらの2つの疾患は,Helicobacto pylori除菌療法の適応拡大や高齢化社会を反映して今後さらに増加することが予測される.本稿では,消化管出血を来す薬剤性腸炎として急性出血性大腸炎,NSAIDs起因性腸炎を中心に述べる.

参考文献

1)渡辺英伸,味岡洋一,太田玉紀,他.炎症性腸疾患の病理学的鑑別診断―大腸病変を中心に.胃と腸 25 : 659-682, 1990
2)斉藤裕輔,渡二郎,藤谷幹浩,他.薬剤性腸炎の起因薬剤と病態・発生機序.胃と腸 35 : 1117-1124, 2000
3)本田啓介,飯田三雄.薬剤性腸炎.日本大腸肛門病会誌 54 : 932-938, 2001
4)吉岡政洋,鈴木紘一.抗生物質起因性腸炎―診断のポイントと対策.Medical Practice 14 : 1109-1112, 1997
5)Bjarnason I, Hayllar J, Macpherson AJ, et al. Side effects of nonsteroidal anti-inflammatory drugs on the small and large intestine in humans. Gastroenterology 104 : 1832-1847, 1993
6)上平晶一,吉田行雄,野尻義文,他.NSAIDs起因性出血性大腸炎の一例.日消誌 98 : 1099-1101, 2001
7)吉田豊,村田有志.薬物による腸管病変とは―発症機序と起因物質.日内会誌 84 : 241-248, 1995
8)石川茂正,速水陽子,菅原和彦,他.抗生物質起因性出血性大腸炎19例の検討.Progress of Digestive Endoscopy 53 : 132-133, 1998
9)櫻井幸弘.薬剤性出血性大腸炎の治療と予防.日医雑誌 115 : 1381-1385, 1996
10)林繁和,神部隆吉,家田秀明,他.抗生物質起因性腸炎の臨床像と鑑別診断.胃と腸 35 : 1125-1134, 2000
11)Koga H, Aoyagi K, Yoshimura R, et al. Can quinolones cause hemorrhagic colitis of late onset? Dis Colon Rectum 42 : 1502-1504, 1999
12)飯田三雄.薬剤性腸炎―最近の話題.胃と腸 35 : 1115-1116, 2000
13)松本主之,飯田三雄,蔵原晃一,他,NSAID起因性下部消化管病変の臨床像.胃と腸 35 : 1147-1158, 2000
14)Tanner AR, Raghunath AS. Colonic inflammation and nonsteroidal anti-inflammatory drug administration. An assessment of the frequency of the problem. Digestion 41 : 116-120, 1988
15)宮岡正明,古賀清,竹下俊隆,他.薬剤関連性腸炎―抗生物質関連性腸炎の内視鏡像を中心に.Progress of Digestive Endoscopy 28 : 49-53, 1986
16)五十嵐正広,勝又伴栄,小林清典,他.NSAID起因性腸病変の臨床的検討.胃と腸 35 : 1135-1145, 2000
17)福島淑隆,舩冨等,青柳有司,他.インターフェロン療法中に虚血性腸炎を併発したC型慢性肝炎の一例.Progress of Digestive Endoscopy 64 : 87, 2003
18)淡川照仁,廣橋佐栄,長谷川公子,他.C型慢性肝炎に対するインターフェロン治療中に急性期潰瘍性大腸炎類似の腸炎を発症した1症例.日消誌 100 : 680-684, 2003

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?