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文献詳細

雑誌文献

胃と腸40巻5号

2005年04月発行

今月の主題 切開・剥離法(ESD)時代の胃癌術前診断

序説

切開・剥離法(ESD)時代の胃癌術前診断

著者: 石黒信吾1

所属機関: 1大阪府立成人病センター病理・細胞診断科

ページ範囲:P.727 - P.729

文献概要

 胃癌治療ガイドラインにて転移の危険が極めて少ない胃癌の特徴が明らかにされた.粘膜内に限局し潰瘍の合併しない分化型癌は大きさにかかわらず,潰瘍合併例でも長径3cmまで,sm1浸潤癌でも長径3cmまでは転移の危険性が極めて少ない.一方,分割切除では局所再発が多く,十分な病理学的検索が難しいことからEMR(endoscopic mucosal resection)の適応は長径2cmまでと定められた.しかし,正確な一括切除を可能としたendoscopic submucosal dissection(ESD)の開発により内視鏡切除術の適応は拡大されつつある.

 ESDでは任意の切開線を設定しえるため,病変の形や大きさに応じた一括切除が可能である.しかし,一括切除を施行したにもかかわらず切除断端が陽性になる場合も少なからずあり,その原因は術前診断の誤りである.また深達度診断が難しい症例もあり,ESD時代を迎えた今,胃癌の術前診断はさらに重要になってきた.本主題では最新のモダリティを用いた胃癌の術前診断限界を側方進展範囲診断と深達度診断の両面から追及し,現時点での術前診断の限界を論じるとともに今後の課題を明らかにしたい.

参考文献

1)日本胃癌研究会(編).胃癌治療ガイドライン,2版.金原出版,2004
2)Gotoda T, Yanagisawa A, Sasako M, et al. Incidence of lymph node metastasis from early gastric cancer. The estimation with a large number of cases at two large centers. Gastric Cancer 3 : 219-225, 2000
3)藤井恭子,石黒信吾,真能正幸,他.未分化型早期胃癌におけるEMRの問題点―病理学的組織学的な立場から.胃と腸 37 : 1181-1188, 2002
4)辻直子,石黒信吾,鈴木典子,他.胃粘膜内癌におけるリンパ節転移の危険因子に関する臨床病理学的検討.Gastroenterol Endosc 41 : 1059-1065, 1999

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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