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文献詳細

雑誌文献

胃と腸40巻5号

2005年04月発行

今月の主題 切開・剥離法(ESD)時代の胃癌術前診断

主題

切開・剥離法(ESD)に必要な胃癌術前診断―X線診断

著者: 長浜隆司1 中島寛隆1 宮本彰俊1 吉田諭史1 馬場保昌1 丸山雅一1 大倉康男2 八巻悟郎3 山本栄篤4 幸田隆彦4 松川正明4

所属機関: 1早期胃癌検診協会中央診療所 2杏林大学医学部病理学 3こころとからだの元氣プラザ消化器科 4昭和大学附属豊洲病院消化器科

ページ範囲:P.730 - P.742

文献概要

要旨 切開・剥離法(ESD)に必要な胃癌術前X線診断につき概説した.ESD施行の可否にかかわらず病変および周辺粘膜が胃小区レベルまで描出された良質なX線画像が必要であり,また病変の平面的,立体的な所見を忠実に表したX線画像が必要である.深達度診断に関しては病変の特徴を十分に把握した上で癌のsm以深浸潤によって生じた所見(因果関係に基づく所見)と,それ自体は癌の深部浸潤を表してはいないが,過去の臨床病理学的な検討をもとに統計的にsmあるいはそれ以深への癌浸潤と相関する所見(相関関係に基づく所見)に分けて診断を行う必要がある.粘膜内浸潤範囲の診断においては胃癌治療ガイドライン内の病変についてはほぼ問題ないものの,適応拡大する上では未分化型におけるIIb進展,胃型の分化型のX線所見を十分に理解したうえで診断することが必要となる.

参考文献

1)中村恭一.陥凹型早期胃癌の粘膜下組織浸潤の肉眼所見.胃と腸 17 : 219-221, 1982
2)馬場保昌.胃癌のX線深達度診断の指標.「胃と腸」編集委員会(編).胃と腸ハンドブック.医学書院,pp 154-165, 1992
3)馬場保昌,杉山憲義,丸山雅一,他.陥凹性早期胃癌のX線所見と病理組織所見の比較.胃と腸 10 : 37-49, 1975
4)八尾恒良,藤原侃,渡辺英伸,他.胃癌の浸潤範囲の内視鏡診断.胃と腸 7 : 725-738, 1972
5)政信太郎,西俣寛人,入佐俊昭,他.レントゲノグラムからみた浸潤範囲と深達度の判定―とくに深達度にポイントをおいて.胃と腸 12 : 1017-1030, 1977
6)竹腰隆男,丸山雅一,杉山憲義,他.生検時点墨法による胃癌浸潤範囲の同定. 胃と腸 12 : 1031-1041, 1977
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8)清水宏,馬場保昌.多発胃癌に合併したⅡb型早期胃癌の1例.胃と腸 21 : 395-398, 1986
9)長浜隆司,中島寛隆,八巻悟郎,他.癌粘膜内進展範囲の診断に難渋した早期胃癌の1例.胃と腸 36 : 1295-1302, 2001
10)杉野吉則,鈴木和代,大須賀香絵,他.胃X線検査における平面検出器(FPD)を搭載したCアーム式装置の有用性.胃と腸 39 : 1572-1582, 2004

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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