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文献詳細

雑誌文献

胃と腸40巻5号

2005年04月発行

文献概要

今月の主題 切開・剥離法(ESD)時代の胃癌術前診断 主題

切開・剥離法(ESD)に必要な胃癌術前診断―内視鏡診断―側方進展診断を中心に―通常・色素内視鏡

著者: 大圃研1 光永篤2 中澤和久3 木村勝巳3 今野久美子3 深井光一郎3 丹野正隆3 片本哲郎1

所属機関: 1JR東京総合病院消化器内科 2東京女子医科大学消化器内視鏡科 3JR東京総合病院臨床検査科

ページ範囲:P.753 - P.760

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要旨 近年ESDの開発・導入により,表層進展発育型の大きな病変であっても一括切除可能となり,そのような病変の境界診断を正確に行うことがますます重要となってきている.これまでの通常・色素内視鏡観察を併用し行ってきた病変境界診断の有用性をESDの対象となる適応拡大病変2例について検討した.大きな表層進展発育型病変の範囲診断を行うにあたり,範囲診断の誤差はほとんどみられず,通常・色素内視鏡診断はESD治療現場においても十分実際的な境界診断技術と位置づけられると考えた.また,ESD切除標本は病変の大きさにかかわらず平均して約20mmの安全域が確保されており,ESDの手技そのものが,今回症例に呈示したような明瞭な境界を示す病変以外においても十分以上の安全域を確保できる治療手段であるとの査証になると考えられた.未分化型癌においては必ずしも病変境界が線で追えるとは限らないが,この点においてもESDが一括切除しつつ十分な安全域を確保できる唯一の治療手段となっていくと考えられた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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