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文献詳細

雑誌文献

胃と腸40巻5号

2005年04月発行

文献概要

今月の主題 切開・剥離法(ESD)時代の胃癌術前診断 主題

切開・剥離法(ESD)に必要な胃癌術前診断―内視鏡診断―側方進展診断を中心に―酢酸・拡大観察を含めて

著者: 小山恒男1 友利彰寿1 堀田欣一1 森田周子1 米湊健1 田中雅樹1 竹内学1 宮田佳典1

所属機関: 1佐久総合病院胃腸科

ページ範囲:P.761 - P.768

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要旨 ESDにて一括切除したにもかかわらず側方断端が陽性になる原因は側方進展範囲診断の誤り,または同時多発癌の見落としである.これらを予防するには術前の内視鏡診断が極めて重要となる.ESDの適応となる分化型粘膜内癌は腸上皮化生内に発生することが多く,周囲粘膜の萎縮が強い場合は癌の境界が極めて不明瞭となる.従来の内視鏡診断学では色調変化,表面性状,段差に注目して診断を進めてきたが,色調や表面構造の変化が少ない癌ではその進展範囲診断は困難であった.これらに対して近年では拡大内視鏡による血管構造の解析や1.5%酢酸撒布による色調の変化,また酢酸撒布後の拡大観察にてpit patternを解析する新たな内視鏡診断学が構築されつつある.本稿ではこれらの新たな内視鏡診断法が有用であった症例を呈示した.

参考文献

1)小山恒男,都甲昭彦.内視鏡検査の準備.幕内博康(編).早期食道癌ハンドブック.中外医学社.1997
2)小山恒男,宮田佳典,友利彰寿,他.Barrett食道癌の境界を読む―範囲診断を中心に.胃と腸 39 : 1243-1249, 2004
3)Yao K, Iwashita A, Matsui T, et al. Microvascular architecture in gastric flat reddened lesions visualized by magnified endoscopy : Usefulness for differentiating between gastritis and gastric cancer. Gasrointest Endosc 57 : AB156, 2003
4)八尾建史,頼岡誠,高木靖寛,他.胃粘膜の拡大観察.胃と腸 38 : 1687-1700, 2003
5)小山恒男.食道疾患の良悪性鑑別診断.田尻久雄,田中信治(編).消化管拡大内視鏡診断の実際.金原出版,pp 32-38, 2004
6)Toyoda H, Rubio C, Befrits R, et al. Detection of intestinal metaplasia in distal esophagus and esophagogastric junction by enhanced-magnification endoscopy. Gastrointest Endosc 59 : 15-21, 2004

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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