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文献詳細

雑誌文献

胃と腸40巻5号

2005年04月発行

文献概要

今月の主題 切開・剥離法(ESD)時代の胃癌術前診断 主題

切開・剥離法(ESD)時代の胃癌の術前診断―直接型平面検出器(flat panel detector)搭載Cアーム型X線透視装置―その有用性と問題点

著者: 長浜孝1 宗祐人1 菊池陽介1 八尾建史1 平井郁仁1 和田陽子1 大原次郎1 関剛彦1 槙信一朗1 津田純郎1 松井敏幸1 八尾恒良1 田辺寛2 高木靖寛2 池田圭祐2 太田敦子2 原岡誠司2 岩下明徳2

所属機関: 1福岡大学筑紫病院消化器科 2福岡大学筑紫病院病理

ページ範囲:P.823 - P.835

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要旨 胃癌の術前精密X線検査における平面検出器(FPD)の有用性について,当院でESDを施行した早期胃癌症例を対象に,従来のフィルム-増感紙による撮影系(CFSS)あるいはFPDで撮影された画像を用い,見直し診断による浸潤範囲の描出能とその画質を比較検討した.二重造影像においては病理組織再構築像と対比した浸潤範囲の描出能に両者間で差はなかった(p>0.05).しかし,①病変の輪郭や病巣内の微細な陰影,②非癌部の胃小区像の輪郭は画像処理を加えたFPD画像のほうが鮮鋭で読影しやすい画質が得られる頻度が高かった(p=0.044,p=0.047).またCアームを用いた斜入撮影法を使用することで,病変を正面像としてとらえることが可能であった.ESDの適応拡大により多彩な病変をより厳密に診断する必要性があり,FPDは今後浸潤範囲診断に寄与するものと考えられる.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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