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文献詳細

雑誌文献

胃と腸40巻6号

2005年05月発行

文献概要

今月の主題 Crohn病の初期病変―診断と長期経過 主題

アフタのみから成るCrohn病症例の検討―長期経過観察例と抗TNFα抗体投与例の検討

著者: 中野浩1 長坂光夫1 岩田正己1 村尾道人1 田原智満1 神谷芳雄1 長谷川申1 藤田浩史1 中村雅彦1 中村正克1 水野環1 原田雅生1 渡邉美帆1 柴田知行1 高濱和也1 渡邊真1 有沢富康1

所属機関: 1藤田保健衛生大学消化器内科

ページ範囲:P.919 - P.930

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要旨 アフタのみから成るCrohn病症例で5年以上経過を観察した32症例を対象として,その経過中の大腸,小腸X線所見の推移を検討した.32症例の内訳は男性24例,女性8例で,年齢は7~52歳,平均20.7±9.8歳であった.初診時アフタは主に大腸に6例,小腸に3例,大腸,小腸にみられた症例は23例であった.32例のうち30例がアフタから縦走潰瘍,敷石像のみられる進展例に移行した.その期間は0.7~9.0年,平均3.2±1.9年であった.13歳,女性で小腸病変を8年4か月間観察した例,52歳,女性で大腸病変で20年間経過観察した例のX線フィルムを呈示して解説した.呈示した2症例,また,多くの例で,はじめアフタは,いったん,消失し,再発する.再発時にはアフタは縦に配列して認められた.このアフタも消失したが,その後,縦走潰瘍が突然,X線フィルム上に出現した.そして,縦走潰瘍は瘢痕化する.多くの症例で,この2症例と同じ所見の変化を示した.各時期の所見を知ることは,今後,その時期に応じた治療を選択する上で有用である.また,アフタにinfliximabを投与した2症例を報告した.infliximabのみで治療した症例ではアフタは再発したが,infliximab投与後,成分経腸栄養療法を続けている症例では約1年10か月後再発していない.

参考文献

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9)渕上忠彦,今村健三郎,岩下明徳.アフタ様病変のみで発症し9年間経過が観察された大腸Crohn病の1例.胃と腸 29 : 547-556, 1994
10)中野浩,岩田正己,長坂光夫,他.Crohn 病経過観察例における抗 TNF-α抗体療法の効果―画像所見の変化を中心に.胃と腸 39 : 156-170, 2004

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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