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今月の主題 表在性の中・下咽頭癌 序説
表在性の中・下咽頭癌
著者: 吉田操1
所属機関: 1東京都立墨東病院
ページ範囲:P.1213 - P.1214
文献購入ページに移動食道癌と中・下咽頭癌
食道癌は多発傾向の著しい腫瘍であるだけでなく,食道以外の臓器にも悪性腫瘍の発生することが知られている.このため食道癌患者に対して口腔,咽頭,胃そして大腸のスクリーニング検査を可能な限り行うことが必須とされてきた.早期食道癌(粘膜癌)の診断と食道温存治療が標準となり,大部分の患者さんは長期生存が可能となったことは喜ばしい.治療後の予後を左右する因子としての異時性重複癌が克服すべき課題となったことは容易に理解できる.食道を温存すると,食道の異時性癌だけでも10%程度発生する.このほかに広範な臓器で異時性悪性腫瘍が発生する.われわれの経験だけでも早期食道癌のEMR後に胃,大腸,口腔・咽頭,喉頭,肺,腎,その他となっている.消化管や肺については早期診断の方法がほぼ確立しているが,中・下咽頭癌は頻度の高いこと,早期診断の難しいこと,治療成績の不良なことが問題となっていた.
食道癌は多発傾向の著しい腫瘍であるだけでなく,食道以外の臓器にも悪性腫瘍の発生することが知られている.このため食道癌患者に対して口腔,咽頭,胃そして大腸のスクリーニング検査を可能な限り行うことが必須とされてきた.早期食道癌(粘膜癌)の診断と食道温存治療が標準となり,大部分の患者さんは長期生存が可能となったことは喜ばしい.治療後の予後を左右する因子としての異時性重複癌が克服すべき課題となったことは容易に理解できる.食道を温存すると,食道の異時性癌だけでも10%程度発生する.このほかに広範な臓器で異時性悪性腫瘍が発生する.われわれの経験だけでも早期食道癌のEMR後に胃,大腸,口腔・咽頭,喉頭,肺,腎,その他となっている.消化管や肺については早期診断の方法がほぼ確立しているが,中・下咽頭癌は頻度の高いこと,早期診断の難しいこと,治療成績の不良なことが問題となっていた.
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