胃と腸40巻9号

2005年08月発行

今月の主題 表在性の中・下咽頭癌 主題

中・下咽頭の解剖

著者： 相澤弘¹ 千葉裕樹¹ 佐藤冬樹¹ 楠美智巳¹ 田中正則² 福田眞作³ 鬼島宏¹

所属機関： ¹弘前大学医学部病理学第2講座 ²弘前市立病院臨床検査科病理 ³弘前大学医学部第1内科

ページ範囲：P.1215 - P.1219

要旨　内視鏡および周辺環境の進歩に伴い，消化管内視鏡医が咽頭部の観察・治療を行う機会が近年増加している．このため消化器内科医にも，中・下咽頭について詳細な解剖学的知識が必要とされてきている．本稿では実際の内視鏡画像を含め中・下咽頭の解剖を概説する．咽頭は，口腔の後側，鼻腔の後下方，脊椎の前面，食道・喉頭の上面に位置する中腔の管腔臓器である．中・下咽頭の構造は，重層扁平上皮より成る粘膜とそれを取り囲む筋層（咽頭収縮筋群，咽頭挙筋群），弾性線維に富む外膜より成る．食道とは異なり中・下咽頭部では粘膜筋板を欠き，その部には弾性線維が層構造を形成している．

参考文献

1）武藤学，堅田親利． 早期癌に対する内視鏡的治療（1）内視鏡医による頭頸部領域の早期癌診断と治療．臨牀消化器内科 19 : 1327-1336, 2004

2）日本頭頸部腫瘍学会（編）．頭頸部癌取扱い規約，3版．金原出版，2001

3）竜田正晴，飯石浩泰，中泉明彦，他．消化器内視鏡テクニックマニュアル，2 版．南江堂，2000

4）Oppenheimer E. The CIBA Collection of Medical Illustrations Digestive System Part I. CIBA-GEIGY corporation, 1978

5）金子丑之助．日本人体解剖学，19版下巻．南山堂，2000

6）藤田尚男，藤田恒夫．標準組織学各論，3版．医学書院，1992