icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸40巻9号

2005年08月発行

文献概要

今月の主題 表在性の中・下咽頭癌 主題症例

半年間に著明な形態変化を示した下咽頭癌の1例

著者: 田中雅樹1 小山恒男1 宮田佳典1 友利彰寿1 堀田欣一1 森田周子1 米湊健1

所属機関: 1佐久総合病院胃腸科

ページ範囲:P.1285 - P.1288

文献購入ページに移動
要旨 症例は70歳代,男性.食道表在癌内視鏡治療の既往があり,食道にまだら状不染帯を認めた.食道癌・咽喉頭癌の高リスク症例と考えられたため,半年ごとのサーベイランス内視鏡検査を行っていた.同検査にて,右梨状陥凹に隆起性病変を認め,表面は周囲と同様の粘膜で覆われていることから,SMTと診断した.6か月後の内視鏡にて右披裂喉頭蓋ひだから梨状陥凹にかけて,白苔を伴う不整な隆起性の下咽頭扁平上皮癌が出現した.本人の希望により放射線治療を行いCRを得た.本症例は6か月間で急速に発育したが,根治可能であった.したがって高リスク症例では少なくとも半年ごとに咽喉頭部の詳細な内視鏡検査を要すと思われた.

参考文献

1)Kumagai Y, Kawano T, Nakajima Y, et al. Multiple primary cancer associated with esophageal carcinoma. Surg Today 31 : 872-876, 2001
2)門馬久美子,吉田操,山田義也,他.食道癌EMR症例における他臓器重複癌.胃と腸 38 : 299-306, 2003
3)永井鑑,川田研郎,西蔭徹郎,他.下咽頭癌の内視鏡治療.胃と腸 38 : 331-338, 2003
4)千野修,幕内博康,島田英雄,他.上部消化管内視鏡における下咽頭の観察.消化器内視鏡 16 : 1357-1362, 2004
5)神津照雄,菱川悦男,渡辺良之,他.食道のスクリーニング検査.消化器内視鏡 16 : 345-347, 2004
6)横山顕,大森泰,横山徹爾.大酒家の食道扁平上皮癌におけるアルコール代謝酵素の関連からみた多発癌および口腔咽喉と胃の他臓器重複癌.胃と腸 38 : 339-348, 2003
7)石黒信吾,味木和喜子,上堂文也,他.疫学および病理学の立場からみた食道癌と他臓器重複癌.胃と腸 38 : 283-290, 2003
8)Muto M, Nakane M, Katada C, et al. Squamous cell carcinoma in situ at oropharyngeal and hypopharyngeal mucosal sites. Cancer 101 : 1375-1381, 2004
9)Muto M, Hironaka S, Nakane M, et al. Association of multiple Lugo- voiding lesions with synchronous and metachronous esophageal squamous cell carcinoma in patients with head and neck cancer. Gastrointest Endosc 56 : 517-521, 2002

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?