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文献詳細

雑誌文献

胃と腸41巻1号

2006年01月発行

今月の主題 早期胃癌に対するESDの適応の現状と今後の展望

主題

胃癌治療ガイドラインの適応外病変となる早期胃癌の診断―X線診断

著者: 浜田勉1 斉藤聡1 近藤健司1 奥田圭二1 田中靖1 鵜沼清仁2 北村成大3 八巻悟郎4

所属機関: 1社会保険中央総合病院消化器科 2社会保険中央総合病院放射線科 3社会保険中央総合病院病理 4こころとからだの元氣プラザ内科

ページ範囲:P.19 - P.30

文献概要

要旨 胃癌EMRの適応病変が2cm以上に拡大されることにより内視鏡でm癌と考えられる病変でも,X線像を加えることにより粘膜下浸潤を判断する必要がでてきた.X線検査によりsm以深の癌を除外することに焦点を絞り,sm浸潤の判定のポイントを述べ,症例を呈示した.隆起型では①隆起の側面像で胃壁に明らかな変形や硬化を伴う例,②IIcの一部が隆起する混合型,③隆起全体が粘膜下腫瘍様に台形状変化を伴う型では,sm癌と判定する.隆起型における診断のポイントは陥凹病変随伴の有無と粘膜下腫瘍様に隆起を認めるかどうかであった.陥凹型でひだ集中の伴わない場合,sm癌では陥凹の程度が深く陥凹内に粗大隆起を伴ったりするので,陥凹底の模様が均一ではなく,陥凹辺縁部が粘膜下腫瘍様に隆起を示したり,陥凹病変全体が台形状隆起を示す.一方,陥凹型でひだ集中を伴う場合,sm層の線維化の程度が強ければ胃壁が厚く観察されるので,sm癌と診断する傾向となる.X線像では空気量が十分な二重造影や圧迫像など胃壁を伸展させた状態でのひだ先端の太まりや癒合はsm以深の所見とする.

参考文献

1) 日本胃癌学会(編).胃癌治療ガイドライン,2版.金原出版,2004
2) 辻直子,石黒信吾,春日井務,他.表層拡大型早期胃癌の病理―肉眼像と組織像の対比を中心に.胃と腸 31 : 573-580, 1996
3) 岩崎善毅,前田義治,迫間隆昭,他.新鮮胃切除標本からみた最大径2cm以下の早期胃癌の深達度診断.胃と腸 27 : 1129-1138, 1992
4) 川口実.胃癌の診断にX線検査は不要か.胃と腸 33 : 654, 1998
5) 浜田勉,近藤健司,板垣雪絵,他.消化管の癌の深達度診断―胃癌.画像診断 17 : 1140-1148, 1997
6) 江頭秀人,馬場保昌,牟田仁彦,他.胃癌のX線診断―X線像による深達度診断の指標.胃と腸 36 : 321-333, 2001
癌との鑑別―X線・内視鏡診断の現状.胃と腸 32 : 1675-1688, 1997

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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