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文献詳細

雑誌文献

胃と腸41巻1号

2006年01月発行

今月の主題 早期胃癌に対するESDの適応の現状と今後の展望

主題

胃ESDによる偶発症の現状とその対策―剝離深度の重要性と手技の工夫

著者: 豊永高史1 西野栄世2 廣岡大司1

所属機関: 1岸和田徳洲会病院消化器内科 2岸和田徳洲会病院病理

ページ範囲:P.75 - P.85

文献概要

要旨 ESDにおける主な偶発症は出血と穿孔である.いずれも術中に発生する場合と術後遅発性のものとがある.術中穿孔は速やかなクリップ閉鎖による保存治療が可能で確実かつその後の処置の妨げにならないようスペースを作った後に行う.術中出血はESDの能率に影響し,成否を分ける.出血の原因となる粘膜下層の血管パターンは前庭部,体部小彎,体部前後壁(内側縦斜走筋群分布領域)の3群に大別され部位別に手順,剝離深度を設定することが攻略のカギである.ITナイフを用いる場合もアタッチメントで視野を確保しForcedあるいはSwift凝固による剝離(凝固モードトリミング)を併用することで出血の少ない処置が可能になった.遅発性穿孔は過通電による全層の凝固壊死が原因と考えられる.面積をもって筋層が脱落するため外科的対応を要する.術後狭窄に対する拡張術は穿孔も来しうるので注意しなければならない.後出血は前庭部や体部小彎に集中し占拠部位の要因が大きい.

参考文献

1) 消化管内視鏡治療研究会(編).消化管内視鏡的粘膜切除術―切開・剝離法導入マニュアル.日本メディカルセンター,2003
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5) 西崎朗,斎藤大三.第6回消化管内視鏡治療研究会アンケート集計,2003
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9) 滝澤登一郎.胃の病理形態学.医学書院,2003
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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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