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文献詳細

雑誌文献

胃と腸41巻1号

2006年01月発行

文献概要

今月の主題 早期胃癌に対するESDの適応の現状と今後の展望 主題

安全性・経済性からみた早期胃癌に対するESD―医療経済とトレーニング法

著者: 飯塚敏郎1 矢作直久1 大塚隆文1 工藤由比1 長島夏子1 布袋屋修1 島岡俊治1 水野英雄1 橋本光代1 山本敬1

所属機関: 1虎の門病院消化器科

ページ範囲:P.99 - P.103

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要旨 早期胃癌に対するESDは,2cm以上の病変でも一括切除が可能であり,根治性を保ちながら胃を温存できる治療法である.安全・確実に治療を行うためには,まず癌進展の正確な診断能力と,十分な内視鏡操作技術が必要である.さらに,ESDに関する知識の習得,シミュレーション,豚切除胃を用いたトレーニング,指導者のもとでの実際の治療といった一連の修練が必要である.ESDは素晴らしい治療手技であるが,現時点では保険適応になっておらず,EMRの診療報酬の中で処置具や薬剤を使用しなければならないため,財政上の負担を強いられている.患者のQOLや医療費の観点から,ESDによる治療のメリットは大きく,早期の保険診療認可が待たれる.また認可後に爆発的な実施件数の増加が見込まれるため,リスクマネージメントの観点からも,トレーニングシステムの構築が急務であると考えられる.

参考文献

1) 矢作直久,藤城光弘,角嶋直美,他.早期胃癌に対する切開・剝離法の治療成績と問題点.胃と腸 39 : 39-43, 2004
2) 後藤田卓志,濱中久尚,小田一郎.偶発症とその対策―特に出血と穿孔.消化器内視鏡 16 : 729-735, 2004
3) 豊田英樹,田中匡介,斉藤知規,他.切開・剝離法(ESD)に必要な胃癌術前診断―新しい診断法 : 酢酸撒布.胃と腸 40 : 801-808, 2005
4) 八木一芳,有賀諭生,中村厚夫,他.切開・剝離法(ESD)に必要な胃癌術前診断―新しい診断法 : 拡大内視鏡.胃と腸 40 : 791-799, 2005
5) 今川敦,矢作直久.内視鏡的粘膜下層剝離術(ESD)トレーニング・レポート.消化器内視鏡 16 : 660-663, 2004
6) 日本胃癌学会.胃癌治療ガイドライン(医師用),2版.金原出版,2004
7) 片山修,光永篤,藤崎順子,他.医療費からみたESDの現状と今後の展望.消化器内視鏡 17 : 603-609, 2005

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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