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今月の主題 早期胃癌に対するESDの適応の現状と今後の展望 主題
早期胃癌に対するESDの評価―私はこう考える
著者: 渡辺英伸12
所属機関: 1PCL Japan病理・細胞診センター 2新潟大学
ページ範囲:P.106 - P.107
文献購入ページに移動過去40年の胃癌研究を通じて,早期胃癌に関する多くの成績が集積されてきた.その1つに早期胃癌のリンパ節転移率が粘膜内癌で2~3%,粘膜下層浸潤癌で15~20%という成績がある1)~3).そして,転移陽性と転移陰性の早期胃癌の病理形態学的特徴が明らかになってきた.最近では,これら転移陰性の特徴を有する早期胃癌に対して内視鏡的切除術が盛んに行われるようになってきた.内視鏡的切除術に要求されることは“病巣の完全摘除が組織学的に証明できる切除材料であること,およびリンパ節転移陰性の予測が評価できる切除材料であること”である.EMR(endoscopic mucosal resection)では,この条件を満たす病変として,“2cm未満の大きさで,潰瘍所見のない,粘膜内癌と考えられる高分化型腺癌”が挙げられてきた1).しかし,粘膜内に限局する2cm以上の大きさの高分化型腺癌でもリンパ節転移が陰性であることから,このような癌に対して内視鏡的粘膜下層剥離術(endoscopic submucosal dissection ; ESD)による治療が盛んに行われるようになってきた.
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