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文献詳細

雑誌文献

胃と腸41巻1号

2006年01月発行

文献概要

今月の主題 早期胃癌に対するESDの適応の現状と今後の展望 主題

早期胃癌に対するESDの評価―私はこう考える

著者: 井上晴洋1 佐藤嘉高1 菅谷聡1 加賀まこと1 小鷹紀子1 里館均1 工藤進英1

所属機関: 1昭和大学横浜市北部病院消化器センター

ページ範囲:P.114 - P.116

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1. はじめに

 消化器内視鏡医にとって,ESD(endoscopic submucosal dissection)の登場は,従来のスネアを用いたEMR(endoscopic mucosal resection)と較べた場合に大きな一括標本が得られる点で画期的な出来事であった.すなわち一括切除によって,病変の全割が可能となり,マッピングにより正確な深達度診断,詳細な病理組織診断も可能となった.そもそもESDは,細川・小野ら1)によって新しく開発されたITナイフを,広範囲の粘膜の一括切除に応用したものである.ESD実施にあたっての種々の技術的問題を克服したこと,そしてGotodaら2)が,適応拡大が可能なことを臨床病理学的に報告したことに始まり小山3),矢作4),山本5)らの大きな業績と考えられる.その一方で技術的ハードルが決して低くないことから,現在,施設間格差などが発生しており,術者の技量が結果を大きく左右していることも事実である.トレーニングシステムや技術認定などの整備が望まれる.

参考文献

1) 小野裕之,後藤田卓志,近藤仁,他.ITナイフを用いたEMR―適応拡大の工夫.消化器内視鏡 11 : 675-678, 1999
2) Gotoda T, Yanagisawa A, Sasako M, et al. Incidence of lymph node metastasis from early gastric cancer. The estimation using a large number of cases in two large centers. Gastric Cancer 3 : 219-225, 2000
3) 小山恒男,菊池勇一,友利彰寿,他.食道癌に対するEMRの選択方法.新しいEMR手技―Hooking EMR methodの有用性.臨床消化器内科 16 : 1609-1615, 2001
4) 矢作直久,藤城光弘,他.早期胃癌に対する細径スネアを用いたEMRのコツ.消化器内視鏡 14 : 1741-1746, 2002
5) 山本博徳.ヒアルロン酸ナトリウムを用いた内視鏡的粘膜切除術.臨床消化器内科 16 : 375-380, 2001
6) 井上晴洋,佐藤嘉高,加澤玉惠,他.切開・剝離法の工夫―わたしはこうしている : 三角ナイフを用いた切開・剝離法.胃と腸 39 : 53-56, 2004
7) 佐藤嘉高,井上晴洋,菅谷聡,他.ESDにおける周術期管理の実際,特に全身麻酔下ESDの有用性について,消化器内視鏡 17 : 632-637, 2005
8) 日本食道疾患研究会(編).食道癌治療ガイドライン.金原出版,pp3-6, 2002
9) 日本胃癌学会(編).胃癌治療ガイドライン(医師用),2版.金原出版,pp6-11, 2004

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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