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文献詳細

雑誌文献

胃と腸41巻10号

2006年09月発行

文献概要

今月の主題 ・sm癌の最新の診断と治療戦略 主題

食道m3・sm癌の最新の診断―X線診断の立場から

著者: 高木靖寛1 長浜孝1 宗祐人1 平井郁仁1 松井敏幸1 岩下明徳2 原岡誠司2 池田圭祐2 田邉寛2 大田敦子2 大重要人2 二見喜太郎3 冨安孝成3

所属機関: 1福岡大学筑紫病院消化器科 2福岡大学筑紫病院病理部 3福岡大学筑紫病院外科

ページ範囲:P.1359 - P.1373

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要旨 当科におけるm3以深食道表在癌52例の最深部X線所見について,最深部の形態により隆起型(19例)と陥凹平坦型(33例)に分けて検討し以下の結果を得た.①隆起型では正面像で,大きさ16mm以上,または10mm以上かつ高さ0-Iはsm2, 3癌であった.②隆起型のうち0-IIa+IIc型,m3a癌(粘膜筋板に接するのみ)5例では4例(80%)に側面所見で伸展性の保たれた偽硬化が認められ鑑別診断に有用な所見であった(感度80%,特異度93%).③特殊な形態の0-Isep,sm2, 3癌では側面変形の乏しい症例がみられた.④陥凹平坦型m3癌では長径2mm以下の微小な浸潤部をX線で指摘するのは困難であった.⑤陥凹平坦型における側面変形では局所的な直線化がm3b癌(粘膜筋板に浸潤するもの),およびsm1癌の診断に有用であった(感度80%,特異度83.3%).⑥陥凹平坦型における側面変形ではsm2, 3癌12例中9例(75%)が陰影欠損,不整硬化を示した(感度75%,特異度91%).以上,今回の検討から隆起型病変では隆起最大径と高さがsm2, 3癌の診断に,側面変形の偽硬化が粘膜筋板に接する程度のm3癌の診断に有用な所見であった.また,陥凹型病変では粘膜筋板に浸潤するm3およびsm1癌とsm2, 3癌の鑑別には,側面像が直線化までか,あるいは陰影欠損,不整硬化を示しているかを読影することで鑑別可能と考えられた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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