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文献詳細

雑誌文献

胃と腸41巻10号

2006年09月発行

文献概要

今月の主題 ・sm癌の最新の診断と治療戦略 主題

超音波内視鏡による食道m3・sm癌の深達度・リンパ節転移・再発診断の精度

著者: 有馬美和子1 多田正弘1 有馬秀明2 田中洋一3

所属機関: 1埼玉県立がんセンター消化器内科 2有馬外科胃腸科 3埼玉県立がんセンター消化器外科

ページ範囲:P.1386 - P.1396

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要旨 食道癌根治手術を回避するために,m3・sm癌に食道温存治療が選択される機会が増えているが,リンパ節転移診断や再発診断の成績,長期予後など解明しなければならない問題が多い.食道m3・sm癌132例を対象とし,食道温存治療の臨床経過,EUSの深達度・リンパ節転移診断および再発診断における精度と役割について検討した.EUSは心血管拍動の影響を受けずに頸胸腹の3領域を検索できるため,CTやUSよりリンパ節描出能が高かった.EUSによる深達度正診率は86.4%,リンパ節転移の正診率は82%であった.リンパ節再発例は,いずれもEUSで診断されていた.CRT例は3年近く経過してから増大リンパ節が出現することが多く,EMR例より再発の診断時期が遅くなる傾向がみられた.治療方針にかかわる場合にはEUS-FNABを行うこともあるが,CRTを選択する際には,定期的かつ長期的にCT,US,EUSで経過観察することが重要である.再発をより早期に発見するためにはEUSが不可欠である.

参考文献

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2) 島田英雄,幕内博康,千野修,他.食道 sm 癌に対する食道温存治療の可能性.胃と腸 37 : 1273-1284, 2002
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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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